小売現場でのセルフレジの普及に大きな障害となっているのが「セルフレジ万引き」の急増。それは小売企業だけの問題ではなく、消費者にも負担が及ぶ理不尽な構造を引き起こしている。この解決こそAIの出番だ。
近年、小売業界における人手不足の切り札として普及が進んだ「セルフレジ」。しかし今、その導入に急ブレーキが掛かっている。
実は、先行してセルフレジを積極的に取り入れていた米国の小売業界では、セルフレジを撤去して店員による有人レジに戻す動きが目立っている。日本国内でも、大手ディスカウントストアや一部のスーパーでセルフレジの運用を見直す動きが出始めている。
その最大の原因が、「セルフレジ万引き」の急増だ。
利益を吹き飛ばす「死活問題」
とりわけセルフレジの導入に熱心だったスーパー業界は、もともと「薄利多売」のビジネスモデル。売上高営業利益率はわずか1〜2%程度にすぎない。
仮に万引きによって1店当たり10万円の損害が出た場合、その損失を取り戻すために必要な売上は、50倍から100倍にあたる500万〜1,000万円という意外と大きな数字になる。小売業界にとって、万引き被害はまさに死活問題なのだ。
この損失分を少しでも取り返すため、実はスーパー業界が水面下で行っているのが「商品の値上げ(の上乗せ)」。つまり一部の悪質な客による万引きによる損失を、大勢の消費者に薄く広く負担させているのが現実だ。
だから万引き被害は「他人事」ではなく、あなたの「損」になっているのだ。
巧妙化する手口と「言い訳」の壁
セルフレジ万引きの主な手口は次の2つだそうだ。
- 重ね打ち:商品を2つ重ね、上の商品だけバーコードを読ませて下の商品をスルーする。
- バーコード隠し:バーコードを指で隠してスキャナーに通し、あたかも読み取らせたかのような動作をする。
これらは、店員がその場で気づいて注意しても、「スキャンし忘れた」「通したつもりだったがミスをした」と言い訳をされてしまいがちだ。故意であることの立証が難しいため、通常の万引きに比べて現行犯逮捕しにくいという厄介な側面がある。
背景には、犯罪を誘発する「3つの要素」が揃ってしまっている現状がある。
<犯罪を誘発する3要素>
- 動機:物価高騰などで経済的に苦しい人が日本でも増えた
- 機会:店員の目が届きにくく、見つかりにくい環境がある
- 正当化:いざとなれば「うっかりミス」と言い訳しやすい
本末転倒な対策からの脱却
この問題に対し、最も効果的なのは「店員による積極的な声掛け」だと言われている。しかし、人件費を抑えるためにセルフレジを導入したのにもかかわらず、監視や声掛けのために店員を配置し続けなければならないのは、まさに本末転倒だ。
社会インフラ・制度
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け39年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅第二創業期の中小企業経営者向けの「個別指導型」経営塾『羅針盤倶楽部』を主宰。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/
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