コンセプチュアル思考の基本スキル[2]~モデル化

2026.08.17

仕事術

コンセプチュアル思考の基本スキル[2]~モデル化

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

AIが協働パートナーとなる時代、人間に残される思考は「コンセプチュアル(概念的)思考」になる。それはつまり──雑多な出来事・情報から本質を抜き出し、概念を形成する。客観的認識にとどまらず、主観的意志(信念・理念)を行動に変える。そのコンセプチュアル思考における5つの基本スキルについて解説する。今回はその2つめ──「モデル化」。

さあ、あなたならこれらの「仕事の報酬」の素材をどのように構造化し、1枚の絵図で肚落ちしやすいように表現するでしょうか──。

ではまず、モデル化の典型的な答案を1つ紹介しましょう。ヨコ軸に「物質的な報酬/精神的な報酬」、タテ軸に「自分でためるもの/他者から受け取るもの」を取り、2軸平面図としてまとめたものです(下図)。

4象限の各所に類型化された報酬群が配置されています。軸を切る目線も根源的なところに下りていっていますし、類型化も適当です。これくらいできれば、及第点といったところでしょうか。

その他、メタファー(比喩)を用いる図も有効的です。下に掲げた答案例[2]はヒト、答案例[3]は樹木をメタファーとして、報酬群をいろいろに当てはめています。こうした身近なものになぞらえる図は注目されやすく、記憶に残りやすい、肚落ちしやすいという利点があります。

さらに答案例[4]は、利己/利他という独自の軸に加え、ライフワークと対になる「ライスワーク(コメの仕事=食うための仕事)という言葉選びが効いています。そして中央に置いた「すべての報酬は自己成長に通じる」というコアメッセージが効いていて、全体として思考の強さがあります。

このように、「仕事の報酬」をモデル的に絵図で表現することで、自分の内にそれを概念として明瞭かつ構造的に収めることができます。と同時に、複数の人間の間で概念イメージを共有するときもこうしたモデル化した絵図はひじょうに有効です。

図解と図観 ~データの視覚化から概念の視覚化まで

さてここで補足的に、図的表現について簡潔に触れておきましょう。コンセプチュアル思考においては、図的な表現形式として次の2つのカテゴリーを考えます。

 Ⅰ. データを図化する表現
 Ⅱ. 概念を図化する表現


まずカテゴリーⅠは、統計図表でよく使われるグラフやチャートといった表現形式です。データ数値を幾何学的な図形に変換することによって、量的な把握、変化的な把握がしやすくなります。

それに対しカテゴリーⅡは、その物事がどんな構造や仕組みを持っているのか、どんな概念・意味であるのかを図化する形式です。要素を意味のあるように配置したり、階層で分けたり、因果関係でつないだり。あるいは、流れを示したり、類型化したり、ときに比喩を用いて表現する形式です。

さて、そこでこの2種の図的表現を「図解」と「図観」というキーワードを使って、深掘りしていきましょう。それをまとめたのが下図です。

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AI時代 人間に残される思考は「概念的思考」になる

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。組織・人事コンサルタント、概念工作家、『源流の森ブックス』編集発行人。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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