2026.02.28
『知能の暴走と知性の未熟』 〜AI時代の「捕食者」から人類を守るための進化論〜
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
歴史を振り返れば、人類史上最悪の惨劇の多くは、単なる「悪意」によってではなく、ある種の「正義」や「大義」の名の下に遂行されてきた。 独裁者、テロリスト、あるいは現代の経済的搾取を主導するエリート層に至るまで、彼らは自らを「世界を正しく導く者」と信じ、その過程で生じる大量の犠牲を「必要なコスト」として切り捨ててきた。 なぜ、高度な教育を受けた「知能の高い人間」が、これほどまでに冷酷な、あるいは非人間的な決断を下せてしまうのか。
1. 国際比較に見る「自己投資をしない日本のビジネスパーソン」の現実
日本のビジネスパーソンの学習意欲の低さは、もはや「国民病」と言えるレベルのデータとして現れている。
• 衝撃的なデータ: パーソル総合研究所が実施したアジア太平洋14の国・地域を対象とした調査によると、勤務先以外での学習や自己啓発を行っていない日本のビジネスパーソンの割合は52.6%にのぼる。これは調査対象国の中で最下位であり、他国が軒並み10〜20%台であるのに対し、日本の異常さが際立っている。
• 「学ばない」ことの代償: 知能(App)の更新を止めれば、付加価値が下がるだけだが、知性(OS)の更新を止めれば、物事の捉え方そのものが腐敗する。学習をしない組織では、20年、30年前の「古い正義(昭和OS)」がそのまま権力として君臨し続けることになる。
2. 段階3(環境順応型)でのフリーズ:組織の論理に魂を明け渡す「悪の平庸さ」
多くの日本のビジネスパーソンは、知性の段階が「段階3(環境順応型知性)」で完全に停止(フリーズ)している。
• 段階3の特徴: 自分の価値観を組織や集団の期待に完全に委ねている状態。「空気を読む」「忖度する」ことは得意だが、自律的な倫理観(何が正しいか)を持たない。
• 「悪の平庸さ」の温床: ハンナ・アーレントがナチスのアイヒマンを評した「悪の平庸さ」は、まさにこの段階3の人間が「高い知能」を持った時に顕在化する。組織が「大量のリストラ」や「不正な利益追求」を命じた際、知性のアップデートを止めた人々は、それを止める「個」の力を失っており、高い知能を駆使してその命令を完璧に遂行してしまう。
3. 世代間ギャップの真相:知性のアップデートを止めたリーダー層による若手への抑圧
日本における世代間の断絶は、単なる価値観の違いではなく、「知性の階層のねじれ」から生じている。
• 知性の逆転現象: 新しい価値観や「つながり(全体性)」を重視する若手層(段階4志向)に対し、権力を持つシニア・ミドル層が、学習を放棄した「段階2(利己的)」または「段階3(順応型)」に留まっている。
• 若手の芽を摘む構造: 成熟した知性を持たないリーダーにとって、自分を客観視し批判してくる部下は「脅威(敵)」でしかない。結果として、組織全体の「器」を広げることよりも、自分の地位(物理的充足)を守るための「排除」が優先される。これが、日本企業からイノベーションが消えた真の理由である。
CHANGE
2008.11.08
2008.11.06
2025.09.29
2025.10.22
2025.11.05
2026.02.17
2026.02.08
2026.02.28
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
フォローして齋藤 秀樹の新着記事を受け取る