サービスサイエンティストとして、サービスの本質的な理論を提唱し続ける松井さんとパナソニックで実際にCX・CSに向き合い、お客様へのサービスを提供されている今村さんをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。 (聞き手:猪口真)
第1回 提供型から共創型へ「カジ育」の誕生
今村 佳世様(パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 常務 CX担当、CS担当)
松井 拓己様(サービスサイエンティスト・松井サービスコンサルティング 代表)
猪口 本日は、サービスサイエンティストとして、サービスの本質的な理論を提唱し続ける松井さんとパナソニックで実際にCX・CSに向き合い、お客様へのサービスを提供されている今村さんをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。どのようなお話になるのか、とても楽しみです。最初にお二人の出会いからお話しいただけますか。
今村 松井先生との出会いは、2020年頃に講演に来ていただいたのがきっかけです。当時、家電をネットにつなげるIoT家電が出始めていましたが、カスタマーサービスは製品のアフターサービスが主流でした。一方で、「カスタマーサティスファクション」や「カスタマーサクセス」といった言葉が聞かれるようになり、CSの在り方について考えるようになりました。テクノロジーの進化によってデジタル化やIoT家電が広がる中で、「つなぐことによる価値とは何なのか」「CSは修理するだけでいいのか」「パナソニックにとってのカスタマーサービスを超える期待とは何だろうか」と、模索していた時期でした。
猪口 大手メーカー各社もDXと組み合わせて、カスタマーサクセスの可能性を模索していたころだと記憶しています。
今村 そんな時に松井先生の「サービスを科学する」というお話を聞いて、すごく面白いと思ったんです。当時、CS担当になる前、私は全国のショウルームを担当していました。ただ商品を紹介するだけでなく、サービスがお客様の期待を超えた時、期待の的にフィットして、「この方の提案なら買いたい」と言っていただけるような経験もしました。しかし、ショウルームでは、お客様がシステムキッチンやお風呂をご購入いただいた際にご説明をするのですが、スタッフ一人ひとりの接客にはバラつきがありましたし、いろいろな判断が、スキルや経験といった個人依存になっていることを実感していました。
そうした経験の中、サービスを科学できたら面白いと思ったのです。家電のCX・CS担当になってからも、そういう世界が作れるのではないかと思いました。松井先生の「5段階評価の満足度アンケートで5点以外は意味がない」「5点でも、心が動かされるような5点でないと次につながらない」「サービスには設計図がないが、設計図にすることによって組織はレベルアップできる」といった言葉が強く心にヒットし、ぜひ一緒に検討していただきたいと思い、「顧客接点革新PJ」というプロジェクトを立ち上げました。
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