もし、これまでの成果が個人の経験やセンスに頼る「属人化」で成り立っているなら、それは限界を迎えています。あるいは、「成熟」して、成長が高止まりしていることでしょう。今こそ、その属人化を打破し、ビジネスの成長(あるいは再成長)をドライブできる「価値の設計図」という新しい羅針盤が必要です。
• 抽象的な言葉を封印する
「ブランド力」「付加価値」といった耳障りの良い抽象語は、具体的な行動につながらないので封印します。代わりに「事前期待フリップ」を使い、「この技術力は、顧客のどのような事前期待に応えられるのか」と、具体的な顧客の言葉に置き換え直します。
• 二歩手前の期待に着眼する
顧客が最終的に望む「大満足」「リピート」という結果(二歩先)だけを見るのではなく、その「二歩手前」にある、より具体的なプロセスへの事前期待に着目します。
ブラッシュアップを重ねて本質的な「的」を見定めることで、「リ・プロデュース」(現在の価値の再現と再設計)の土台が固まります。
価値の「伸びしろ」は「事前期待の穴」にあり
リ・プロデュースが完了し、現在の価値が可視化されると、次に「価値の伸びしろ」が見つかります。それが「事前期待の穴」です。
これは、顧客が心の中で「応えてほしいと思っているのに、現状のサービスでは満たされていない期待」です。この穴は、実は簡単な「穴埋め問題」として捉えられます。
「穴」さえ見つかれば、そこに焦点を絞って「小さな努力」をするだけで、大きな成果を出す道筋が立ちます。この、「これからどの事前期待に応えるべきか」を明確にするアプローチが「深度1価値化」です。
この「価値の設計図」は、ビジネスを成長させるための強固な土台となります。
この土台があれば、今後はさらに、顧客との約束をコントロールする「事前期待のマネジメント(深度2)」や、顧客と一緒にサービスの意味そのものを「進化」させていく深度3へとステージアップできます。過当競争に疲弊するのではなく、顧客と深く信頼関係を築き、共に新しい価値を創造する道を目指しましょう。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2023.03.13
2023.04.03
2023.03.27
2023.03.20
2023.04.10
2023.04.17
2023.04.21
2023.05.05
サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング)
サービスサイエンティスト(サービス事業改革の専門家)として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 【最新刊】事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~【代表著書】日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新
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