【 経営の構想力 】

2008.04.10

ライフ・ソーシャル

【 経営の構想力 】

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

もう一度読み返したい本: 【 経営の構想力 】 (著)西浦祐二 氏

■ もう1つ「組織の壁」による問題意識や発想の制約もある。これは、知恵が部門という箱の中に閉じこもり、他の部門との知恵の化学反応が起きず、より大きな知恵が生まれてこないことによるもの。常に「各論」に浸り切って全体像のないまま目の前の課題と仕事を追いかけるだけに終始してしまっている。

■ 「構想」と「編集」とが密接な関係にあるのは分かったが、この「編集する」行為と「構想する」行為は、何が違うのか。それは、「編集」には、「凝集する」というニュアンスが強い。対して、「構想」という概念は、「跳躍する」とか「大きく広がる」という意味が込められている。

■ つまり、「編集」とは、「構想」を生み出すために必ずなければばらない前工程であり、「構想」を支える行為である。その前工程の出来具合によって、構想の幅が決まってくる。この前工程で実際に「構想」につながる「創造的な飛躍」が頭脳の中で行われる。それは、「化学反応」の結果生まれる思考エネルギーの爆発といっていい。

現場の視点と大局的な視点

■ さらに、「構想力」を生み出すには、「現場の視点」と「大局的な視点」との融合が必要である。

■ 「現場の視点」とは「現場の気づき」であり、その気づきが発想につながり、発想が構想を生み出す。多くの新商品や新事業はこうした現場の気づきが出発点となっている。この現場の視点を磨くには、①、明確な問題意識をもって、頻繁に現場に顔を出すこと ②「現場の力」の棚卸し、強み・弱みなどを評価してみること ③顧客の視点に立ち、現場と共に「満たされない顧客のニーズ」を洗い出す作業をすること、などが挙げられる。

■ 「大局的な視点」とは、目先の変化に惑わされず、「大きな流れ」やその流れの奥底にある「本質」を見る眼のことである。ビジネスマンにとって、細かな知識や情報が必ずしも必要ないが、歴史流れや世界情勢を、鳥瞰図的に眺める癖を身につけることが大切。それにより、今我々がいる位置やこれから向かう方向が見えてくる。

「構想力」を高める仕組み

■ 「構想力」を高めるための組織的な仕組みができれば、構造力が豊かな個人も活かすことができる。 そのために求められるのは激しい「知の格闘」である。これは、「ナレッジマネージメント」の考えにつながる。

■ このナレッジマネージメントの目指すべきところは、「知識や情報の流れを作り出し、それを循環させ、新しい価値を生み出す環境を提供すること」である。しかし、その仕組みづくりはなかなか成果を上げていない。

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