入管施設での暴力的扱いはなぜなくならないのか

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2023.03.15

経営・マネジメント

入管施設での暴力的扱いはなぜなくならないのか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

その制度の不合理性と人権無視の運用が国際的に非難の的となっている日本の入管制度。法務省と日本政府はいい加減、各地の入管施設の実態を把握し、本質的な改善に取り組むべき段階に来ている。

2021年3月、名古屋出入国在留管理局(入管)の施設に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて亡くなった問題は広く報道され、日本の入管施設での非人道的な扱いについて注目が集まった。

実際、その内容については、おぞましいという感覚を覚えるほど入管職員は酷い対応をしている(しかもこの事件については、そもそも入管に収容ではなくDV扱いで保護すべき事案だったと指摘されている)。でも結局、関係者は揃って不起訴扱いとなっている

検察庁も各地の出入国在留管理局も同じ法務省の管掌なので、身内の不祥事には厳しい追及をしないのか、関係者の証言が十分に取れないため(被害者は亡くなり、加害者は口裏を合わせるため)証拠不十分となった模様だ。まったくひどい話だ。

実はこれは氷山の一角だ。在留資格のない外国人が不法滞在者として収容される施設は全国に合わせて17カ所あるが、2007年以降に入管施設に収容された外国人のうち少なくとも18人が命を落としている。ウィシュマさん同様、この方たちはもう、何が起きたかという事実を証言できない。

それに対し、例外も存在する。難民申請中であり、かつ日本人女性と結婚しているにもかかわらず、法務省・出入国在留管理庁(入管)の収容施設に長期拘禁(収容)された上、入管職員による集団暴行を受けたクルド人のデニズさん(名字は匿名希望)の場合、訴訟になっているがゆえに詳しい事情も明らかにされている。

彼は収容後、薬物投与もあって精神崩壊とも言える状況にまで追い込まれ、収容施設内で10回も自殺未遂を繰り返している。現在は仮放免されたものの、今後再収容の恐れもあり、その場合には今度こそ命を落とすことになりかねない。

デニズさんが提訴した国賠訴訟では、入管側が東京地裁に証拠として提出した虐待の記録が、Yahoo!ニュースや共同通信、TBS「ニュース23」などで報じられている。入管側は特別に酷いものだと意識せずに提出したのだろうが、一般人の感覚からはとてもショッキングな内容だ。まさに常軌を逸した虐待が日常的に行われていることの証だろう。

これ以外にも、収監者たちが入管施設における職員による暴力の実態を語っている証言を記録した『牛久』という映画がある。米国人監督のトーマス・アッシュ氏が東日本入国管理センター(通称『牛久』)に通いつめ、面会室にビデオカメラを隠して持ち込んで非人道的な扱いに苦しむ人たちの声を届けているドキュメンタリー映画だ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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