入管施設での暴力的扱いはなぜなくならないのか

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2023.03.15

経営・マネジメント

入管施設での暴力的扱いはなぜなくならないのか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

その制度の不合理性と人権無視の運用が国際的に非難の的となっている日本の入管制度。法務省と日本政府はいい加減、各地の入管施設の実態を把握し、本質的な改善に取り組むべき段階に来ている。

そこにさらに、出入国在留管理庁という組織がシステムとして持つ問題が、事態の解決を難しくしている。それは「全件収容主義」という組織の基本方針だ。

この結果、収容の長期化が起きやすいのだが、実際には施設のキャパには限界があり、個別の事情に応じて特別に在留を認める「在留特別許可」(在特)の付与や、一時的に収容を解く「仮放免」が、調整弁として、しかも恣意的に繰り返されているのだ。

その恣意性のため外国人収容者やその関係者は不満を募らせ、その怒りの矛先は職員との衝突を生む。そして反抗的な態度に対し入管職員は容赦ない…。

収容施設は本来、送還まで一時的に留め置く施設というのが建前だ。それなのに在留資格のない、または失った人たちをすべて(そして結果的に長期に)留め置いているところがそもそも間違いだ。医療知識も欠如し、人権意識の低い職員が収容者の健康を管理すること自体が無理なのだ。収容は原則として、逃亡の恐れがある人、出国期限が過ぎた人だけで十分だ。

出入国在留管理庁は「全件収容主義」という無意味な方針を即座に放棄し、日本政府は恥さらしな入管法改正案を廃案にし、まともな対処を検討すべきだ。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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