田中角栄と松井市長と水道橋博士と 水道橋博士参議院議員を生んだのは

2022.07.19

組織・人材

田中角栄と松井市長と水道橋博士と 水道橋博士参議院議員を生んだのは

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

政治主張や解説ではありません。戦略コミュニケーションを考える上で、人心掌握について田中角栄元総理を思い出し、書いてみました。

しかし結果は3人のれいわ参議院議員が誕生し、その1人として水道橋氏は当選したのでした。これだけの大逆風選挙で当選に至ってしまったのは、松井氏への強い反発エネルギーを水道橋氏に持たせ、行動させてしまったからなのではないでしょうか。

もちろん政策を支持して投票した人もいたからこその当選です。しかしそもそも立候補まで駆り立てた原動力の一部に、松井氏からの訴訟への反発があったのは間違いありません。いってみれば水道橋博士参議院議員を生んだのは、私は松井市長だと感じるのです。

・分割して統治せよ
私は植民地政策をイギリスで勉強しました。地域対立や民族・部族対立という「対立」は、統治者にとって実に都合の良い政治手法なのです。社会の開発が遅れていたアフリカ諸国はヨーロッパ列強によって植民地となり、その植民地は列強が直接武力で弾圧するのではなく、必ず異なる部族が異なる部族を支配するという 二重支配構造で成り立ったのです。

宗主国は部族対立の上に君臨することで、対立や憎しみは現地部族同士にさせたのでした。広大な海外帝国を築いたイギリス、スペイン、ポルトガル・・・皆用いた原始的ですが、人間の本性を突き動かす強力な手法です。未だ癒えぬ民族対立や差別は全世界に残っています。

「分割して統治せよ」という植民地支配の原型を作ったのは何と、紀元前のローマ帝国です。われわれ人類はローマ時代の政治手法にいまだ踊らされているのでしょう。

敵を倒すのではなく、味方を増やす。さらには敵でも味方でもない中間地帯を大切に育てた田中元総理。政治的な評価ではなく、人間心理に基づいた人心掌握は、組織論においても学ぶべき点が多いと思っています。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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