40の問題解決法(その2):読書猿『問題解決大全』から

2022.05.06

ライフ・ソーシャル

40の問題解決法(その2):読書猿『問題解決大全』から

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/匿名の読書猿氏が著した『問題解決大全』(フォレスト出版)は、労作の良書だ。とはいえ、この本、元ネタに引っ張られて、その要約がかならずしも問題解決というテーマの下にまとまっていない。というわけで、メモ書き程度だが、その40の方法について、その追加的な解説をかんたんに書き留めておこう。/

匿名の読書猿氏が著した『問題解決大全』(フォレスト出版)は、労作の良書だ。とはいえ、この本、元ネタに引っ張られて、その要約がかならずしも問題解決というテーマの下にまとまっていない。というわけで、メモ書き程度だが、その40の方法について、その追加的な解説をかんたんに書き留めておこう。


S04 キャメロット

一般にはサイモンアプローチと呼ばれているもの。元はキルケゴール以来の実存主義。問題状況に対しては、まずそれが解決された理想を立て、そのギャップを埋める。しかし、理想の立て方は人それぞれ。たとえば、部屋にモノが散乱している、という状況は、整然とモノが収納されている生活を理想とすることもできれば、ミニマリストとしてモノをほとんど持たない部屋を想像することも、かたづけにマメな旦那/奥さんとの幸せな結婚を夢見ることもできる。そして、あとはその理想に近づくように、それぞれ棚を買う、モノを棄てる、相手を探す、など、努力すればよい。


S05 佐藤の問題構造図式

問題は、おうおうに、その問題そのものではなく、その解決策の困難にある。たとえば、なかなか結婚できない、というのも、じつは、相手が見つからない、というのではなく、良い相手を見つけて付き合い始めても、ずっと仕事が忙しくて、すぐ疎遠になり、いつも自然消滅なのかも。これは、仕事の忙しさの方を解決することが重要。


S06 ティンバーゲンの四つの問い

問題を、個別/一般、直近/根本の二軸四象限に分け、一般根本原因の解決こそを求める。たとえば、今朝、遅刻した、という問題の個別直近事情は、起きるのが遅かった、ということだが、その根本原因は、昨夜に夜更かししたこと。それで、早く起きればよい、夜更かしさえしなければよい、と考えがちだが、毎度、遅刻する、となれば、一般直近原因としては、生活リズムが乱れているせいであり、その一般根本原因は、酒の飲み過ぎ、夜遊びのしすぎだったりする。


S07 ロジックツリー

物事の道理を可視化する方法。中心の幹は、実現すべき目標。これに対して、幹より下の根の側はそれを実現する条件(方法)を<かつ>や<または>で論理的に整理し、さらにその条件についても、それを実現する条件(方法)を整理していく。これによって、どのルートで目標を実現するか、そのために事前にどれだけの根回しが必要か、がわかる。たとえば、家を買う、という目標に対して、貯金する、または、ローンを借りる、という手があり、貯金するのにも、節約する、転職する、夫婦ともに働く、などの手がある。しかし、夫婦ともに働く、となると、保育園が近くにある、または、親と同居する、などの条件が必要になるだろう。また、逆に幹より上の枝の側は、それを実現したときに起きる影響。これも、<かつ>や<または>で論理的に整理し、起こりうる問題を事前予測して、つねに先回りして手を打っていく

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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