​フリーメイソンとフランス革命を巡る会話:フランクリン・ゲーテ・ナポレオン

2021.03.22

開発秘話

​フリーメイソンとフランス革命を巡る会話:フランクリン・ゲーテ・ナポレオン

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/ブラウンシュヴァイク侯は、フント男爵のドイツ人大移民団を米国独立弾圧の傭兵軍に変え、ロスチャイルド家を通じてその利益を仏大オリエント社のエジプト十字軍に投資。しかし、その大統領オルレアン平等公は武装市民革命を企て、マインツ独立の失敗、ロベスピエールの独裁、ナポレオンのクーデタと、メイソンリーは迷走していく。/

「まさにメイソンらしい土建的経済刺激策だな。だけど、それには、最初の呼び水の資金がいるだろ。ただでさえ国庫が破綻しているのに、どうやったんだ?」

「名門生まれのオータン司教タレーランだよ。七三年にイエズス会を解散させたときに、その莫大な資産が吐き出されてきた。それなら、ということで、革命を機会に国内のカトリック教会を全部ぶっ潰し、その土地収益を抵当にアシニャ(割当)紙幣を発行した。タレーランは教皇から破門されたが、自分の方からも司教を辞して国民議会の議長になってしまった」

「貴族にとって、教会なんて、家柄に箔を付けるだけのものだもんなぁ」

「革命と言っても、立憲王政を目指して国王や都市貴族は存続して、ローマ中心主義の一部の僧侶階級が排除されただけというのが本当のところなんですね」

「ところが、これでうまく終わっては困るのが、愛人の小ビュフォン伯爵夫人アニェスにけしかけられているオルレアン「平等(エガリテ)」公だ。彼は、王室顧問会議弁護士のダントンだの、貧乏ジャーナリストのデムーランだの、サディスト高級娼婦のテロワーニュだの、パレロワイヤルの手下のプロ市民たちを使って王室批判を続ける。逆に、よけいなスウェーデン貴族のフェルセン伯爵とやらは、絶対王政に戻そうと、プロシアやオーストリアを反革命でけしかける。そのせいで、九一年六月二〇日、国王一家は国外逃亡を図って、王権停止で立憲王政計画は瓦解。ボルドー市の連中、いわゆるジロンド派が政権を奪取して、干渉周辺国に対する主戦論を展開。もはや国会議事堂建設どころではなくなってしまった」

「ちなみに、三五歳のモーツァルトは、九一年九月末に、ウィーン市のオペラ座の南西のヴィーデン劇場で、メイソンを暗示する『魔(ま)笛(てき)』を上演して、十二月には病死しているな」

「オーストリアの方は、あんまり戦争なんていう雰囲気じゃないですねぇ」

「自称啓蒙君主の皇帝ヨーゼフ二世はともかく、姉のマリアアンナや妹のマリアクリスティーナ「ミミ」、その夫でネーデルランド総督になっていたアルベルトカジミールは、イルミナティで「フランス大オリエント社(GOdF)」の側だからね」

「なのに、ジロンド(ボルドー)派は、なんで主戦論だったんでしょうね?」

「想定されていた敵国は、オーストリアじゃなくて、大ブリテンだったんだろうな。フランス西岸のボルドー市は、十五世紀の百年戦争が終わるまで大ブリテンに支配されていたから、また侵略される、と思ったんじゃないのかな。実際、パリ市のチュルリー宮に幽閉されていた王族は、以前からドイツ兵、つまり、米国独立戦争と同じチューリンゲン(中部丘地)の傭兵奴隷を使っていたし、王族がタンプル(聖堂騎士団)塔に監禁された翌年の九二年七月には、傭兵奴隷の親玉の「厳格(ストリクト)新聖堂騎士団(テンプラー)」総(そう)帥(すい)ブラウンシュヴァイク侯が、王家の地位の保全を要求。これは事実上の宣戦布告だ。背景に、大ブリテン王国・ハノーファー選帝(クア)公国やプロシア選帝(クア)王国がいたのは、あきらかだろ」

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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