タレント・マネジメントが、全くうまくいかない理由(【連載15】新しい「日本的人事論」)

画像: Jun K

2018.09.19

組織・人材

タレント・マネジメントが、全くうまくいかない理由(【連載15】新しい「日本的人事論」)

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

組織・人事に関わる全ての施策は、日本人の特性や自社の独自性への洞察なしには機能しない。それは、OSが違えば、アプリが動作しないのと同じである。欧米の真似でもない、うまくいっている会社の真似でもない、日本企業において本当に機能する組織・人事の考え方や施策について思索・指南する連載。

タレントマネジメントは、ドラッカーが述べたことの実践とも言えるだろう。「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。もちろん、できないことによって何かを行うことなど、到底できない。」「成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みを気にしてはならない。利用できる限りのあらゆる強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。」「人の強みではなく弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。人の出来ることは何も見ず、できないことは全て知っているという者は、組織の文化を損なう。」「組織の役目は、人の強みを成果に結び付け、人の弱みを中和することにある。」

強みに集中することを力説したドラッカーだから他にもこのような言葉は沢山あるが、これらの言葉を「名言」として片付けてしまわず、タレントマネジメントの仕組みづくりや運用にどう活かすかが問われている。標準化によって強みは生まれない。従って、標準化は成果を生まない。弱みに焦点を当てる標準化は人を元気にしないし、成長にもつながりにくい。弱みは組織でカバーすればよいのであり(それが組織の存在意義である)、個人に弱みの克服を迫るべきではない。タレントマネジメントは「強みに焦点を当てよ」と言い、多くのビジネスパードンに影響を与え続けているドラッカー理論の実践と位置づけるべきなのである。

●強みに焦点を当てた、タレントマネジメントの実践

強みに焦点を当てたタレントマネジメントは、以下の3ステップによって実現する。

一つ目は、「強みづくり」だ。強みは、本人任せで何もしなければ、それを発見・自覚できない。弱みは本人にも周囲にも分りやすいが、強みは自分でなかなか見つけられない。したがって、それぞれが強みを発見し、それを自覚するよう促すのが上司や人事部の役割となる。振り返り面談、他者からの評価、アセスメントツールの結果などから一緒に強みを探していく。強みを発見・自覚できれば、それを伸長していけるように支援する。選択型の研修制度も、強みが自覚されないから受講者が増えないのであって、強みを自覚し、伸長させるという目的があれば、受講意欲も格段に高まるはずだ。

ここでは、弱みに触れるべきではない。弱みに触れるだけで、強みに焦点が当らなくなってしまうからだ。また、強みを「○○の知識」「○○力」などで分類すべきではない。それこそが標準化パラダイムのなせる業で、本人の自覚とは異なる表現になりがちだし、他者と差別化されたものにはならないからだ。強みは、本人の言葉で定性的に表現されたもので構わない。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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