将来課題を議論するための「新PEST分析」

画像: flexbox

2017.04.26

経営・マネジメント

将来課題を議論するための「新PEST分析」

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

目先の案件や数字だけを追うばかりでは仕事はつまらないし、部署の結束も固まらない。少し時間的余裕が生まれる、この時期ならではのテーマを話し合ってみるのはいかが?

まず最大の違いは、経済(Economics)ではなく環境(Environment)&エネルギー(Energy)を4要因の1つとすることだ。目先の出来事に注目しがちな「経済」よりも、より長期的で根本的な変化のドライバーとして地球や自然環境、エネルギー環境などに注目することで自然と視点が長めかつ広めに維持される実際的利点がある。

2つめの違いは「政治」(P)の扱い方だ。政治・行政がどう対処しているかという短期的観点ではなく、大きなトレンドとして市民が政治・行政に何を期待し要求する方向に向かっているのか、および国際関係が10年の単位でどういう方向に進もうとしているのかという長期的観点に限るという縛りを設けるのだ。しかも分析の順番としては、他の要素の後にする(図参照。他の3要素に引っ張られて長期的視点になりやすい)。

3つめの違いは、ただ単に4要素の変化ドライバーを挙げるだけでなく、最期にそれらから示唆される「自社もしくは自事業にとっての課題」(対処すべき事柄など)まで考えることだ(図参照)。従来型のPEST分析でも弊社ではこうしたやり方をとることが多かったが、特に今回想定しているようなシチュエーションではここまで考えることが目的に適う。

こうして抽出された課題を次のステップでどう扱うかはケース・バイ・ケースである。数が多すぎると思ったら、もう少し絞り込むステップが必要だ。それには単に、もう少し議論して自分たちの部門に相応しくない(貢献できない)と思えるものを外していくのでもよい。「重要性」と「緊急性」のマトリクスで優先度を評価してもよい。もしくは「改善余地」「期待効果」「取組の容易さ」などで評価して優先順位を付けるのでもよい(課題群によってはピンとこないこともある)。

もう十分手頃な数だと思うなら、そこから「ではどうする」という解決策を検討する必要がある。それは皆で改めて議論してしてもよいし、幾つかのグループに振り分けて、各々の「宿題」として検討させてもよい。もしくは課題群の中から好きに選ばせて具体的な取り組みを検討させてもよい。メンバーの顔触れや時間軸などで最も妥当だと思えるやり方を採用すればよい。

肝心なのは、やりっ放しにせずにきちんとフォローすることと、そのためにも各自に「自分事」と思ってもらうように意識づけることだ。この辺りが責任者たるあなたの腕の見せ所だ。そうしたことまで段取りできたら、どうぞ部下たちを誘って飲みに行ってくださいな。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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