将来課題を議論するための「新PEST分析」

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2017.04.26

経営・マネジメント

将来課題を議論するための「新PEST分析」

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

目先の案件や数字だけを追うばかりでは仕事はつまらないし、部署の結束も固まらない。少し時間的余裕が生まれる、この時期ならではのテーマを話し合ってみるのはいかが?

連休に挟まれたウィークデー。責任者であるあなたが見渡すと、大型連休を取得した数人を除いて大半の部下が部屋に残っている。いつもなら昼間は閑散としているのにどうしたのかと尋ねると、取引先が連休中なので外出する予定がなく、普段やれない資料整理をしているという。じゃあ彼ら自身がどうして大型連休を取得しなかったのかと問えば、連休中はどこも混むしカネが掛かるから避けていると口を揃えて言う。そうだな、陽気もいいし、今日は早めに終わって彼らを誘って飲みに行くとするか…。

ちょっと待って欲しい。こんな時だからこそ普段できない「将来に向けて我々は何をすべきか」を考えてはいかがだろう。会社全体でもいいし、自らの所属部門に限定してもいいので、将来課題を真面目に議論するのだ。「飲みニケーション」以上に、将来像を共有することが部署の結束を固めるのに最も効果的だということは色々な研究で明らかになっているのだから。

会社や部門の将来課題を抽出するアプローチは一つに限るわけではなく、実は幾つもある。以下、業種や人数の多寡にかかわらず取り組みやすいやり方を挙げてみよう。

まずそこそこ知られているPEST分析という手法がある。通常は事業戦略を検討する際に、「今、世の中ではどんな変化が起きつつあるのか」という外部環境要因を分析するためのアプローチだ。4つの環境要因として、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字をとってPESTというわけだ。

この分析はいわば世の中のトレンドを言語化し共有するためのもので、本来決して短期的な視点のアプローチではない。しかしながら普通のビジネスマンだけで行うと2~3年先程度までしか発想できないことが多い。ましてや普段、目先のことに追われている現業部門(営業部門など)で行うと余計にこの傾向が強くなり、しかも抽出されるファクターも普段議論しているものと代わり映えしないことが多いようだ。

それは政治(P)と経済(E)の2項目においてどうしても現在既に起きつつある動きを挙げることになりがちで、それに引っ張られて全体がやや短期志向になってしまうからだ。残念ながらこれでは「会社や部門の将来課題を抽出する」ことにはならない。

そこで敢えて変則型の「新PEST分析」をやることをお薦めしたい。3つの点で通常のPEST分析との違いを説明しよう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。新規事業の開発・推進、そして既存事業の収益改善を主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/               弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashinban/            最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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