コンサル業界は働き方改革をできるのか

画像: Associazione Ondata

2017.02.15

組織・人材

コンサル業界は働き方改革をできるのか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

コンサルティング業界は今や人気業界の一つらしいが、その長時間労働の実態はあまり知られていないようだ。世の中で「働き方改革」が注目されている中、この業界でも真剣な取り組みが不可欠な時期に来ている。

安倍政権が構造改革の柱として採り上げている「働き方改革」は産業界のホットテーマだ。とりわけ「長時間労働の是正」というのが喫緊の課題であり、学生らの就職先の選択においても大きな要素となっているだろう。

そんな中、小生が注目しているのがコンサルティング業界である(我社もその一員だが)。我々が就職した数十年前と違って今や人気業界の一角とまで言われることがあるそうだが、この四半世紀の実態はかなりの「長時間労働」業界だった。3Kで有名なSI業界からの転身組が多いせいか、実態も似てきたのである(むしろ最近はSI業界のほうが働き方改革を進めている傾向がある)。

そんな「長時間労働」業界でも就職または転職における人気が高まったのは、ひとえに給与水準が高く、任せてもらえる仕事の内容(クライアント企業の経営事項に関わるなど)が面白いことに尽きよう。しかしそうした就職・転職人気にあぐらを掻いて長時間労働の是正に背を向けていては、いずれは大きなしっぺ返しを食らいかねない。新入社員の自殺問題で電通がクローズアップされたのにもそうした側面があろう。

ちなみに小生が昔いた頃のアーサー・D・リトルという戦略コンサル会社は例外的存在だったため、当時もその後も、他の外資戦略系コンサル会社にいる人達と互いの実態話をすると結構呆れられることが多かった。「ウチではその倍は働いている」とか「タクシー&御前様でない日を数えたほうが早いよ」とかいうコメントが多かったので、他社はその頃から長時間労働だったと思われる。

それでも、戦略系よりずっと図体の大きい「会計系」とか「総合」が付く大手コンサル会社の人たちに話を聞くと、さらに輪を掛けた「長時間労働」の実態にこちらが唖然とすることが多かった。

実際、それで体を壊したり精神を病んでしまったりする人が毎年数%いるという話を幾人からも平気で聞かされたものである。その場にいた某社での先輩・後輩の関係の人たちが「あの頃はアパートには寝に帰っているだけでしたよ」などと懐かしそうに振り返るのには、「こいつらマゾか」と思ったものだ。

体や精神を病む人が一定数存在することに関し小生が「それはおかしくないの?」と問いかけると、某有名コンサル会社の若手幹部役員は平然と「ある程度の病人を抱えるのは仕方ないですね。僕らパートナークラスが仕事を取ってきて、若手に馬車馬のように働いてもらう。これがこの業界のビジネスモデルですよ。今さら何ですか」と答えてくれたものだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。新規事業の開発・推進、そして既存事業の収益改善を主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/               弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashinban/            最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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