顧客満足度調査、次の一手につなげるなら事前期待を聞け|service scientist's journal

画像: Gregory "Slobirdr" Smith

2018.07.16

経営・マネジメント

顧客満足度調査、次の一手につなげるなら事前期待を聞け|service scientist's journal

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

顧客満足度調査やVOC活動など、顧客からの評価や声を集める取り組みに熱心な企業は増えました。しかし、情報は集まったものの、うまく活かせていない「やりっ放し問題」があります。折角集まった情報がなぜ活かせないのか。その原因は、様々な事前期待を十把一絡げにして分析してしまい、当たり前な考察しか出てこないからだと、前回の記事で触れました。それでは、事前期待を捉える顧客満足度調査は、どのように組み立てたら良いのでしょうか。

事前期待の設問を追加するだけでいい

これまでの調査項目を変えなくても、顧客の事前期待の内容を知るための項目を追加するだけで良いのです。「どういう事前期待をもった顧客が、どんな評価をしているのか」これが分かれば、次の一手で何をすべきかが今まで以上に明確になります。

サービスの利用には不安はつきものです。たとえば、この不安の大きさで顧客を分けて分析したところ、不安が小さい顧客は評価は総じて高かったのですが、不安が大きい顧客に課題が見つかりました。契約後に満足度がガクンと下がっていたのです。契約前は、営業担当者が熱心にフォローします。しかし、契約が決まると、営業担当者は次の顧客からの受注獲得に気が向いていて、不安の大きな顧客のサービス利用に寄り添えていなかったのです。これでは未来の顧客を大量に失っている恐れがあると分かります。そこで、不安の大きな顧客に対してサービス利用開始のフォローを加えたところ、満足度が格段に向上し、リピートや顧客紹介も増えた、という具合です。

このように、事前期待を捉えて分析を加えるだけで、伸びしろや盲点を明らかにでき、顧客満足度調査が次の一手に繋がり、成果を生み出し始めるのです。


「事前期待は何ですか?」と聞いてもあまり意味がない

注意したいのは、闇雲に「お客様の事前期待は何ですか」と聞いても、顧客自身、自分の事前期待がよく分からないことが多いということです。そこで、闇雲に聞くのではなく、まずは仮説として、価値ある事前期待とはどんなものがあるのかを挙げてみると良いでしょう。そのうえで、事前期待で顧客タイプを再定義し、勝負プロセスをモデル化してみます。このサービス設計の仮説があると、調査を通してどんな事前期待を捉え、どの評価項目を重点的に評価すべきかが明らかになり、調査や考察の精度が高まります。

事前期待を捉えることで、難しいデータ分析の手法や方程式を理解しなくても、ある程度深い考察が可能になります。経営から現場までがデータ分析のプロにならなくても、効果的かつ納得感の高い次の一手を見出すことが可能になるのです。事前期待を捉える工夫を加えるだけで、顧客満足度調査をやりっぱなしにせず、サービスの価値向上の推進に活かせるようになるのです。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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