サービス向上の事業成長モデル (1) 【連載サービスサイエンス:第31回】

画像: jar [o]

2017.05.23

経営・マネジメント

サービス向上の事業成長モデル (1) 【連載サービスサイエンス:第31回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

事業成長のポイントを意識してサービス向上に取り組むのと、ただ闇雲に取り組むのとでは、成果に大きな差がつきます。お客様に喜んでいただくことのその先に、事業成長に繋がる成果を見据えた組み立てをすることが大切です。

サービスを受けたいと思って頂く

お客様に喜んでいただくためにサービスを磨いても、お客様が来てくれなければサービスを提供することすらできません。まずは「サービスを受けたいと思っていただく」必要があるのです。

言われてみれば当たり前ですが、実はこれが意外に難しいのです。サービスは目に見えないので、お客様の期待に合ったサービスかどうかは、サービスを受けてみないと分からないという特徴があります。ゆえにお客様は、期待と不安の入り混じった中でサービスを選ぶことになります。「サービスを受けたい」と思っていただくためには、この期待や不安に寄り添わなければなりません。

しかし、サービス提供者の努力がお客様の期待や不安にマッチしていないことはよくあります。例えば外食店や小売店などの店舗型のサービスでは、お客様が居心地を期待しているのに、ホームページに店内の様子の写真が掲載されていない。お客様がガラス越しに店内を覗こうと思ったら、スタッフがすかさず「いらっしゃいませ!」と声をかけるので、気が引けてお客様が去っていってしまう。店内で店員さんがベッタリついてくるので、プレッシャーでゆっくり選べない。といった具合です。

目に見えない「サービス」を受けたいと思っていただくためには、お客様のどんな期待や不安を意識しなければならないのかを定義しておく必要があります。そして、お客様の期待や不安の観点で、自社のサービス営業の取り組みを見つめ直してみてください。「お客様に失礼がないように」、「チャンスロスにならないように」という思いで努力していることが、実はサービス提供者の都合や思い込みを押し付けていて、やればやるほどお客様が去ってしまっている。ということも少なくありません。

それでは続いて、③サービスを再度受けたいと思っていただくこと、④サービスを誰かに勧めたいと思っていただくことについて、次回の記事で順に触れていきたいと思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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