サービスの本質とは(2) 【連載サービスサイエンス:第2回】

画像: Sharon & Nikki McCutcheon

2015.07.23

経営・マネジメント

サービスの本質とは(2) 【連載サービスサイエンス:第2回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング 代表

いざサービスの価値を高めて競争優位を築こうと思っても、いったい何から手を付けたら良いのか分からなくて苦戦することが多いものです。そこで当連載では、ワンランク上のサービスを実現するために、目に見えないサービスをロジカルに捉えることで、その本質や努力のポイントを明らかにしていきたいと思います。

「ところで、サービスの定義って何でしょうか?」日夜サービスについての議論をしていたり、長年サービス向上の取り組みを進めてきた企業でも、「サービスの定義は?」と問われると、うまく答えられなかったり、人によって違う答えが返ってきます。

サービスや顧客満足の向上に苦戦する原因をひも解いていくと、サービスの定義が曖昧なことがほとんどです。サービスに関わっているにもかかわらず、「サービスの定義」すら理解していない状態では、議論や活動が噛み合わないのは当然といえます。サービスや顧客満足の向上の第一歩は、サービスの定義とその本質を理解するところから始まるのです。


「サービス」とは?

それでは早速、サービスの定義を理解することで、サービスの本質をあぶり出してみたいと思います。サービスサイエンスでは、サービスを次のように定義しています。

『人や構造物が発揮する機能で、お客様の事前期待に適合するものをサービスという』

ここでのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

まず、『人や構造物が』とありますが、「構造物」もサービスを提供できるのです。例えばコインランドリーに人はいませんが、明らかにサービス業ですよね。また「人」の部分も重要です。サービス提供者は、「自分自身もサービスの一部としてお客様に評価されている」という自己認識を持っていない人が多いように思います。サービスを提供する「人」もサービスの一部だということを、今一度肝に銘じる必要がありそうです。


サービスの本質に迫る

次に、『発揮する機能で・・・』の部分です。

「サービスとは、機能の発揮である」という定義は、多くの学者の方々が提唱しています。ただし、この定義の最大のポイントは、機能さえ発揮すれば、何でもかんでも「サービス」というわけではないことです。すなわち、機能の発揮の中で、お客様の事前期待に適合するものだけを「サービス」というのです。裏を返すと、お客様の事前期待に適合していない機能は、いくら頑張って発揮しても、サービスですらないということです。それはもはや、「余計なお世話」や「迷惑行為」「無意味な行為」と呼ばれてしまうのです。

つまり我々は、サービスを提供しようと思ったら、お客様の事前期待を掴まなければならない。さもなければ、サービスを提供することすらできないということです。サービスの本質は「お客様の事前期待」なのです。

ただし、「事前期待」と一言で言っても、お客様ごとに様々です。簡単に「事前期待を掴め」と言われても、具体的に何をしたら良いものかと困ってしまうかもしれません。そこで、事前期待とはいったい何なのかについて、事前期待の構成要素と、事前期待に応えるための努力のポイントを体系立てて理解することが重要です。これについては、次回明らかにしてみたいと思います。


サービスは目に見えないからこそ、定義と本質の共有が肝心

今回はサービスの定義から、「お客様の事前期待を掴み、それに応える」ということが、いかに重要であるかがお分かりいただけたと思います。サービスは目に見えないものだからこそ、こういった「サービス」「顧客満足」「事前期待」「サービス品質」などの定義とその本質をしっかりと全員で共有し、効果的で納得感のある取り組みを推進していただければ幸いです。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング 代表

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。 代表著書:日本の優れたサービス シリーズ 1―選ばれ続ける6つのポイント、2―6つの壁を乗り越える変革力

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