スモール・ジャイアンツから学んだこと

2018.02.28

経営・マネジメント

スモール・ジャイアンツから学んだこと

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

アメリカで「スモール・ジャイアンツ」とよばれる「小さくても偉大な企業」。それらの企業との交流を通して学んだことは「偉大さ」とは規模(売上・頭数)ではなく、肝心なのは市場シェアではなくお客様の心のシェア(マインドシェア)であるということ。

これまで、アメリカの津々浦々の「スモール・ジャイアンツ」を訪問してきましたが、そんな出会いを通して学んだことがたくさんあります。すべてを話そうと思えば何日もかかりますが、今日はその一部をピックアップして書いてみたいと思います。



1)大都市にも、田舎にも、「スモール・ジャイアンツ」はある

「スモール・ジャイアンツ」はニューヨークやロサンゼルスなどの大都市に集中しているのではなく、むしろその反対。日本の基準では「片田舎」と呼ばれるような小さな町にも、全米中、いや世界中にその名をとどろかせるような「スモール・ジャイアンツ」が存在します。



そのひとつの理由は、「スモール・ジャイアンツ」が、「地域密着型のビジネス」を展開し、「地域社会に価値を還元する」ことを柱にしているからです。私が懇意にして、長年研究をさせてもらっている多くの「スモール・ジャイアンツ」は、例えばシカゴの郊外、ダラスの郊外、デトロイトの郊外、デンバーの郊外など、緑の多いのどかな地域に本社を構えています。



デトロイトの郊外に、デリを主体としたフード・サービスの会社があります。食材の「質」と顧客サービスに徹底的にこだわり、なんとラスベガスやディズニーランドから声がかかるようなお店を築いてきました。チェーン展開、フランチャイズ展開。一般的なフード・サービスのオーナーなら、二つ返事で飛びつくような話でしょう。しかし、この会社のオーナーは、断固として首を縦には振りませんでした。なぜでしょう。自分が足を運べないようなお店を、ゆかりも何もない土地にオープンしたところで、自分が誇りにし、満足できるような商品やサービスは提供できない、と確信したからです。



結果として、この会社はデトロイトの郊外の大学町で、ありとあらゆる食品関連のビジネスを展開しています。原点であるデリはもちろんのこと、ケータリング・サービス、チーズ屋、キャンディ屋、コーヒー屋、古き良きアメリカの食事を提供するレストラン、韓国料理屋さん、食品通販、ベーカリー、結婚式場、イベント会場、「食」に特化したラグジュアリー・トラベル会社等など。そして地域では、またとない「食」の体験を提供してくれる場所として愛され、尊敬され、また、その町に住む大学生からは尊厳とやりがいある職場としてもてはやされています。そればかりではない。教育事業部をもち経営セミナーも提供していますが、この会社の「成功の秘訣」を学びたい経営者が世界中からこの町を訪れるのです。

次のページ「スモール・ジャイアンツ」は業界・業種を問わない

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

フォロー フォローして石塚 しのぶの新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。