ムーミンと成人式。逆境を学びの機会に

2018.01.16

組織・人材

ムーミンと成人式。逆境を学びの機会に

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

着物着付け会社の被害にあった人はお気の毒としか言いようがありません。また全然別件ですが、センター試験の地理の問題でムーミンの知識が必要かどうかも話題となりました。年明け合い次いで起きた2つの問題ですが、受験生や成人という、キャリアの節目で起きたことをポジティブな教訓とできないか考えました。

1.あらゆる「悪」から子供を遠ざける純粋培養は可能?
被害者に何の落ち度もない着付け会社の件では、一方的に損害を受けたのが被害者です。しかし悲しいかな、こうした悪質な行為を働いたり、犯罪を犯す者は絶えず存在します。これまでも、これからも、恐らく犯罪がこの世から消えることはないでしょう。誰であっても、いつ犯罪被害者になるかは予見できません。

自分にビタ一文責任がなくとも勝手に巻き込まれてしまうのが犯罪です。詐欺や泥棒や暴力行為など、生きているだけであらゆる「悪」の被害に会う可能性があります。そうした悪と戦い、人々を守る社会正義ですが、それすらも時として冤罪や誤審といった、無実の人を陥れる恐ろしい犯罪を犯します。

生きるということはこうした理不尽さが必ず付きまといます。完全正義が達成されることは恐らく未来ふくめて不可能でしょう。「悪」から子供はもちろん、大人であっても完全隔離することはできません。つまり子供であっても悪と出会うことなく育つ(育てる)ことは不可能といえます。


2.ムーミン地理B問題への批判
センター入試「地理B」の出題で、北欧3カ国の文化の共通性と言語の違いを問う問題が出されました。しかしその選択肢アニメ、ムーミンやビッケがあり、「アニメの知識が問われている」という誤報が独り歩きしました。

正確な問題は以下です。(大学入試センター試験2018年度地理B問題より)

ヨシエさんは、3カ国の街を散策して、言語の違いに気づいた。そして、3カ国の童話をモチーフにしたアニメーションが日本のテレビで放映されていたことを知り、3カ国の文化の共通性と言語の違いを調べた。次の図5中のタとチはノルウェーとフィンランドを舞台としたアニメーション、AとBはノルウェー語とフィンランド語を示したものである。フィンランドに関するアニメーションと言語の正しい組み合わせを、次の1~4のうちからひとつ選べ。(解答番号28)

スウェーデンを舞台としたアニメーション
ニルスのふしぎな旅 スウェーデン語 Vad kostar det?(それいくら?)

大学入試センター試験(2018年度) 問題については毎日新聞が公開しています。
https://mainichi.jp/graphs/20180113/hrc/00m/040/002000g/23

決して「ムーミンはどこの国のアニメか?」を問うアニメ知識問題ではなく、言語の共通性やバイキングが存在した地形といった知識と思考を問う問題だと感じます。現在行われている大学入試改革、現行の知識の暗記・再生に偏りがちな試験を、思考力・判断力・表現力や、主体性を持って多様な人々と協働する態度など、真の「学力」を問うものに変えていこうという流れに沿ったものといえると思います。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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