予約バックレ問題へのあるべき対処

2017.12.26

組織・人材

予約バックレ問題へのあるべき対処

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

飲食店で宴会予約をしておきながら、連絡もなく当日現れない無断ドタキャンで、店の悲鳴が発信される事件が続いています。無断キャンセル・当日バックレは犯罪であり、ビタ一文擁護の余地はありませんが、店の対応についてはいずれも店がネガティブな印象になるのを嫌ってか、ウヤムヤな仕舞となっています。

1.ドタキャンよりひどい無断キャンは犯罪
50人とか100人という大量の宴会予約をしておきながら、キャンセルの連絡もないまま当日現れないという事件が相次いで伝えられています。店にしてみれば、売上が立たないどころか、予定したメニュー用に仕入れた材料が無駄になる、大損害を食らうことになります。

しかし一方、こうした不測の事態を店側がインターネット・SNSで訴え、ニュースになり、それを見た人が義憤からお店に足を運んだりして、何とか損害を食い止めたり、最小限の被害で収まったりするようで、人情ニュースとしても報道されます。しかしそれで良いのでしょうか?

そうした犯罪的な行為を働いた側の多くは、電話しても出なかったり、そもそも電話をつながらなくしたりなど、きわめて悪質な対応を取ることも多く、店は対抗手段を持っていません。また世界中で飢えた人たちがたくさんいる中、使えない食材を廃棄しなければならないとは、そのニュースで見る私たちにも大きな罪悪感を感じさせます。


2.美談で終わらせてはならない
一番悪いのはこうした犯罪行為を働いた犯人である予約者です。意図的に他人の名前を語って大量の出前を注文する嫌がらせと同じ、店に対する詐欺行為といえます。詐欺は刑法犯。本来イタズラで済むことではありません。

SNSでつぶやいた結果、別のお客さんが来てくれてタダで食べてくれたとか、お金を払っていってくれたという美談で終わるものの、私は、悪質な犯罪行為に対し、美談で終わらせることに強い違和感を覚えます。無駄にならなかったことや店の損害を最小限で済ませたこと自体にはホッとしますが、一方で犯罪者を野放しにして良いのかという点がそのまま残っているからです。

店側がことを荒立てることなくうやむや解決を選ぶのは、飲食店の経営環境が厳しく、激しい競争下で少しでも客にネガティブな印象となる可能性を恐れてのことともいわれます。しかし予約を無断で反故にした行為にもかかわらず、店側をネガティブに捉える「客」などいるのでしょうか?


3.無断バックレはそもそも客ではない
お店はお客の奴隷でもなければ、お客は神様でも何でもありません。わずかでも評判を損なうことを恐れるというのは、リスク管理の視点が欠けているといわざるを得ません。このような犯罪行為を働く者は少なくとも客ではありません。またそうした事情を理解できない人間も同様に客にはなりません。記事を読んでも一方的に客に非があることを理解できないような第三者は、やはり客と呼べるようなものではないでしょう。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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