コンセプチュアル思考〈第19回〉 コンセプトの精錬法[1]~結合・分離

画像: Career Portrait Consulting

2017.01.17

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第19回〉 コンセプトの精錬法[1]~結合・分離

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

時代とともに人びとが抱くコンセプトは変わり、変わりゆく技術もそれが有効に用いられるコンセプトを欲しています。また、コンセプト自体を消費する社会にもなりました。そんななかで、ごく一般的な物事のとらえ方、論理秩序、枠組みに依っているだけの思考では、担当商品に力を与えることはできません。既成のコンセプトに対し、つねに鋭い思考の投げかけを行うというコンセプチュアル能力は、商品がますますコモディティ化する流れにあって、いやまして重要になっています。

◆物事のとらえ方を精錬する6つの方法
物事のとらえ方を研ぎ澄ませ、とらえた内容(すなわちコンセプト)を精錬していく方法はさまざまあるでしょう。ここではとくに、ビジネスの現場で役立つ観点を取り上げ、下の6つに分類して紹介します。

[1:結合・分離]
 a)掛け合わせる
 b)足し算する
 c)引き算する

[2:視点の移動・創出]
 a)見る位置を変える
 b)枠の外からながめる
 c)寄って見る/引いて見る
 d)観点を起こす

[3:ものさし変更]
 a)目盛りを変える
 b)目盛りをなくす
 c)目盛りをつける
 d)白黒反転させる

[4:置き換え]
 a)土俵を変える
 b)文脈を変える
 c)形態・様式を変える

[5:研ぎ澄まし]
 a)エッジを立てる
 b)造語する
 c)メッシュを密にする

[6:喩え]
 見立てる

きょうはこの1番目の「結合・分離」について解説します(2番目以降は次回からの記事で解説します)。


◆[1:結合・分離]1-a)掛け合わせる

何か一つの概念に凝り固まって、その囲いから抜け出られないとき、異種の概念を掛け合わせてみると、予想外の発想が生まれ、新しい概念の誕生につながることがあります。「A×B→新しい何か」の変化です。

例えば「回転寿司」。寿司は職人がカウンターで握って出すものという固定概念に、ベルトコンベアー(工場で部品を流す装置)という概念を掛け合わせた結果、寿司屋の概念を大きく変える店舗が生まれました。また、イチゴと大福を掛け合わせた「いちご大福」は和菓子の概念を広げました。ウォルト・ディズニーは、アニメーション映画と公園を掛け合わせ、『ディズニーランド』というテーマパークをつくり出しました。『ディズニーランド』は単なる公園ではなく、まったく新しい概念と呼んでいいものです。

 ・「寿司×ベルトコンベアー」→回転寿司
 ・「イチゴ×大福」→イチゴ大福
 ・「アニメーション映画×公園」→ディズニーランド

次のページ◆1-b)足し算する

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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