高齢者ドライバーを抱える家族がすべきこと

画像: Daniel Oines

2016.12.19

ライフ・ソーシャル

高齢者ドライバーを抱える家族がすべきこと

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

認知症が疑われる高齢者ドライバーを抱える家族の心配は観念的なものではなく、現実的に家族崩壊さえもたらしかねない大きなリスクが迫っている。早めに検討し対策すべきだ。

ただし高齢者自身だけで利用するのはハードルが高いため、家族が自分のスマホにアプリをダウンロードしたうえで、何度か高齢者の運転するクルマに同乗して利用する必要がある。

ではそうした客観的評価を受けた後に、高齢者に提示すべき代替手段にはどんなものがあるのか。望ましい順に挙げてみよう。

一番安心なのはもちろん、免許証を返納させてクルマに乗ることを諦めてもらうことだ。しかし高齢者がそのまま家に引きこもることになっては一挙に認知症が進みかねない。

地元の役所に相談して、公的な移動支援サービス(路線バスの老人割引、オンデマンドバスや乗合タクシーなど)で使えるものがないか探すことが第一歩だ。しかし例えば早朝には運行していないとか、隣の市には行けないなど利用上の制約がきついため、そのままでは高齢者は納得しないだろう。そうした公的サービスではカバーしていない部分を補うよう、家族および地域のボランティア団体に運転手役を頼むことも是非考えていただきたい。

次に望ましいのは(先の手段とも組み合わせ可能だが)、普通のクルマを放棄してもらい、たとえ事故を起こしても誰も死傷させない低速度の乗り物に乗り換えてもらうことだ。具体的には、田舎ならトラクターが身近だし、もう少し都市部ならシニアカーと呼ばれる一人乗り電動車両が現実的だ。難点は、中長距離には向いていないことと、自分がどこにいるのか分からなくなった場合には帰宅できないことだが、探すべき範囲も限られているはずだ。

その次に望ましいのは、仮に認知遅れや誤操作で事故を起こしそうになっても衝突を回避してくれる機能を備えたクルマに乗り換えることだ。こうしたクルマが増えてきたことは実に喜ばしいが、事故防止に万全ではないことにも留意すべきだ。

例えば、ある程度以上の速度で歩行者や建物に突っ込んだ場合、衝突被害軽減ブレーキ機能が働いても相手を死傷させることは十分あり得る。ましてや高齢ドライバーが何らかの事態に慌ててしまい、ブレーキではなくアクセルを踏んでしまった場合には、自動ブレーキ機能は中和させられるか、解除されてしまうケースが結構ある。中途半端にブレーキを踏むことで解除される仕様もある。もしくは、ドライバーがハンドル操作で事故を回避しようとする場合、衝突被害軽減ブレーキは通常効かず、別の歩行者に突っ込むかも知れない。

最後に、そのブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故をなくす有効な手段があることもお伝えしておこう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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