失敗した! そんな時こそマーケティングで考えなおそう

2016.08.22

営業・マーケティング

失敗した! そんな時こそマーケティングで考えなおそう

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

新商品を発売したり、新しいサービスを立ち上げたりする。そんな時は、誰もが成功する気満々のはず。まさか失敗するなどとはつゆ足りとも考えていないだろう。けれども、世の中そんなに甘くない。新商品がヒットする確率は、実は0.3%とも言われる。だから失敗して当然、とはいえ、そこから立ち直れるかどうかは、マーケティングの力を使えるかどうかにある。

けれども、BtoCビジネスのカギとなる、PromotionとPlaceが致命的な弱点となった。つまり、せっかくのサービスも外国人観光客に知ってもらうことができず、使ってもらえなかったのだ。

失敗からの軌道修正

思うように売上は上がらず、抑えているとはいえ経費は毎月出て行く。そこで彼は素早く方向転換を考えた。ここで役に立ったのが、マーケティングのセオリーである。

彼は、自分のビジネスモデルを見なおしてみた。優秀な翻訳・通訳スタッフ(帰国子女もしくは留学生、それもトップレベルの大学所属)、スタッフのほとんどをバイトで回す低コスト体制といった強みに変わりはなく、外国人客は増え続けている。

ただ、セグメンテーション、つまり勝負すべきマーケットを間違った。確かに外国人観光客のニーズは顕在化しているが、ニーズが明らかになっているということは、それを狙う大手が参入してくることになる。実際に、そうなってもいた。格安のSIMカードを空港で提供するビジネスが立ち上がっていたのだ。

では、どう考えればよいのか。外国人観光客を巡るマーケットは他にもある。つまり、外国人観光客をターゲットとする企業を支援するBtoBマーケットである。幸いなことに、彼の商圏内には外国人相手にビジネスを展開する企業や店がいくらでもあった。そこに対して、単に質の高い通訳・翻訳サービスを提供するだけではなく、外国人観光客を集客するための総合プロモーション提案のできる企業であることをアピールした。

人脈プロモーションを徹底

最初に立ち上げたビジネスの失敗体験から、彼はプロモーションの重要性を学んだ。要するに、いくら優れた商品やサービスを持っていたとしても、それを想定顧客に知ってもらわなければ、買ってもらえないのだ。

だから、絞りこまれているとはいえ不特定多数を対象とするBtoCから、特定顧客を対象とするBtoBへと思いきった転換を行った。そうした顧客に対しては、代理店が機能することも理解した。自社でターゲットすべてにアプローチをかけるのではなく、ネットワークを活用する。この知人ネットワークが機能するのも、BtoBのメリットである。

ラッキーなことに、彼が当初立ち上げたサービスは新奇性があり、さらに彼自身が若手ベンチャーだったことも相まって、マスコミに取り上げられていた。だから、そうしたビジネスに関心を持っている相手、要するに彼が新たにターゲットに想定した相手の間では、彼の会社はある程度の認知度があった。だから受け入れられた。

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