まだ「無い内定」学生の親が、今できる就活支援

2016.08.17

組織・人材

まだ「無い内定」学生の親が、今できる就活支援

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

就職情報会社ディスコは8月、2017卒就活(現・学部4年/修士2年)の内定率最新調査で、85.8%という数字を発表しました。この数字から読めるのは、まだ15%の学生は就活継続中だということです。日頃学生本人への講座やアドバイスをしていますが、本人ではなく「親」が今できることは何か、考えてみましょう。

お金ではなく、直接会社選びや就活指導に乗り出す親もいます。ESを子供に代わって代筆したり、面接練習をするという人もいます。しかしこうした直接の関与は基本的に子供の就活を失敗させるリスクが高いのでお勧めしません。特に絶対に避けてほしいのは「素人の関与」です。現役の人事課長だとか、現在の採用システムに精通している親であれば良いのですが、恐ろしいのは現在ではなく昔の就活しか知らない素人の親です。


・バブルは遠い彼方
最悪なのは入社が楽だったバブル期に、しかも人事の経験もなく会社員生活を送った親で、さらにビジネス現場を離れて20年など、ビジネスには素人の学生以下の知識しかない親です。正に混乱をもたらす邪魔以外の何者でもありません。採用市場も採用基準も、何より企業の経営環境が全く異なる現在の就活環境に、昔の知識と経験は無用の長物でしかないのです。

学生はそもそも社会を知りません。そこに学生から見れば社会を知っている「ように」一見、見える親の口出しは大きな影響を与えるでしょう。仮に子供のESを代筆して、非常に完成度の高いものが提出できたとしましょう。実際にES代筆を請け負うサービスもあると聞いたことがありますが、全くもって無意味です。

ESの出来が良ければ、面接につながる可能性は確かにあります。しかし就活はESの試験ではありません。ESに基づいて面接し、もしそこに出来の良いESに対し、あまりにもギャップのある面接だったらどうなるでしょう?当然パクリや代筆が疑われ、面接を突破することはまずありません。結局親の介入で途中まで進むことが仮にできても、成果につながらない以上は単に時間を浪費するだけに終わります。今、困っている学生に浪費する時間などありません。


・親ができることは?
では親は何一つ助けることはできないのでしょうか?
ぜひお勧めしたいのは、ご自分がどんな仕事をして、何によって給料をもらっていたかという話をすることです。キャリア学的に言えばご自身のコンピテンシーを子供に説明してあげるのです。親になる年代です方、新卒後、現在に至るまで普通であればさまざまな職場や部署、中には転職した経験のある方もおられるでしょう。そうした変遷を通じ、ご自身がどんなことを成し遂げ、何が評価され何が評価されなかったのか、その歴史、経験を説明してあげるのです。

特に参考になるのは不本意な就職や不本意な異動、業務のミスなど、失敗談です。学生の知識は社会を知るにはあまりに少なく、また学問的な知識とは別に、実社会におけるキャリア実現というものを体験できません。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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