運命は出会いまで

2012.12.24

仕事術

運命は出会いまで

坂口 孝則
未来調達研究所株式会社 取締役

すべて運命が左右するわけではない。運命が左右「してくれる」のは出会いまでだ。

すべてを運命で語る人がいる。「あれも、運命だった」「これも、運命だった」。なるほど、すべては運命なる奴の責任か。

肯定的なことがらについても「運命だった」といってしまえば、どんなに楽なことだろう。成功もすべてを運命と考えることは、たしかに良い側面もある。そして、よくセットになっている言葉が、「日頃、良い行いをしていたから、運命が味方してくれた」と。

ただ、いくつかの疑問を持ってきた。たとえば、この世の中には、生まれてこなかった子供がいる。あるいは不慮の事故で亡くなった人もいる。彼らにたいして、運命を強調する人は、「運命だったから死んだのだ」というのだろうか。それでは遺族は何の慰めにもならない。また、「日ごろの行ないが悪かったから、運命から見放されたのだ」というのだろうか。

もちろん、そこまで貫徹すれば、一つの主義ではあるだろう。しかし、運命を強調する人で、ここまで一貫している人は、さほどいない。

同時に、「運命だけでは語れない」と思ってきた。その人に振りかかる偶然は、たしかに人生を左右する大きなファクターだろうけれど、本人の努力や能力もある。それらを無視して、「運命だ」とのみ語ってしまうことに違和感を抱いてきた。

そこで、こう考えることにした。

・運命はたしかに人の人生を左右する
・しかし、運命(偶然)が人を左右するのは、出会い、までだ
・その出会いをどう解釈するか、どう行動に移すかは、その人しだいだ

と。つまり、人生はきっかけを創出はするけれど、結果までは責任を負わないし、そこまでの影響力はないよ、と考えた。

ある人は、人生の師となるべき人に出会うかもしれない。ある人は、今後の生涯をともにする伴侶に出会うかもしれない。ただ、運命ができるのはそこまでだ。その後、師と交流を持つのか、あるいは、伴侶となる可能性の異性に果敢に声をかけるか、はその人しだいだ、ということだ。

この考え方が正しいのかはわからない。ただ、そう考えると、だいぶ気が楽になった。運命はすべてを支配してはいない。出来事や偶然は起こす。

それ以降の責任や解釈は、すべて自分に委ねられているのである。

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坂口 孝則

未来調達研究所株式会社 取締役

大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役。コスト削減のコンサルタント。『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など著書22作。

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