トラブル請負人の仕事術

2011.05.31

仕事術

トラブル請負人の仕事術

喜田 真弓

IT系の仕事につきものの、システム障害などのトラブル対応。ソフトウェアの販売とサポートを生業とするアシストにおいても例外ではない。顧客企業に満足してもらえるようなトラブル対応処理を、迅速かつ適切に行うことができれば、問題の解決以上の効果をもたらすこともある。災い転じて福となる。つまりそれによって顧客から信頼を勝ち得ることができた場合だ。

「1週間くらい経過してから、これらの対応によってようやく少しずつ状況がみえてきました。こちらから先手を打ってメーカーとの調整や今起こっていること、その事象による影響範囲や対応策を随時報告できるようになり、怒りから不信感を持たれたSIerの方も、ようやく問題解決に向けてどうすれば良いかを、一緒に考えて行動していただけるようになりました」

SIerも含めて、時には夜中の3時、4時に携帯で議論をすることもあった。こうしておよそ2ヵ月間をかけてプロジェクトは解決に向かった。その結果、当初のスケジュールから遅れることなくシステムはカットオーバーにこぎつけることができた。

この時の対応について、営業マンとして、またマネジャーとして、佐藤が常に手本としている上司の設楽はこう振り返る。

「人命にもかかわる重要なシステムでのトラブルでした。度重なる問題で、ユーザ、SIerからは不信感を持たれ、社内の技術メンバーの疲弊もマックスに。そんな状況にあって、佐藤が建て直しのため自ら舵取りを行い、感情的にならずに問題の本質を見失わずにゴールを見据え、主張すべきことははっきりと主張して理解を求めたのはまさにトラブル請負人と呼ばれる所以でしょう。問題が起きると『できるか、できないか』という現在の延長で考えてしまう人が多いですが、彼は『どういう状態になればいいのか』『そのためには、何が必要か』というゴールから考えることができます。トラブルは『本当の問題』を解決しないとモグラたたきになってしまい解決にならないことがありますが、彼は常に本当の問題にフォーカスし、苦しい立場にありながらも営業として最前線に立ち、お客様、パートナー、社内関係者、メーカー各社の要求を取り纏めながら愚痴ひとつこぼさず、最善の策を考え抜く姿勢には頭が下がります。たまに考え過ぎるので『その先は、やってみないとわからないんじゃない?』とアドバイスすることもありますが(笑)。物腰柔らかく、常に他者の意見にしっかり耳を傾ける姿勢は、チームリーダーとしても手本になると思います」

トラブル発生時にまずすべきことは、お客様の気持ちを静めていただくことだと佐藤は言う。
「トラブルの原因がわからない段階では、こちらにどのような怒りを向けられていても仕方ありません。誤解を解くのはその後でも十分だと考えています。そして次は現状把握です。今何が起きているのかタイムリーに把握し、先手を打って次のアクションをこちらから連絡する。それによってそれまで一方的にクレームを寄せられていたのが、徐々に理解を示していただけるようになり、そうなれば一緒に落としどころを考えてもらえる。このトラブル解決においても、技術サポート担当者の献身的な支援ももちろんですが、何と言っても、お客様の協力があったからこそ見えた出口だったと思っています」

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