道具屋が選んだオープンソース・ソフトウェア

2011.05.19

開発秘話

道具屋が選んだオープンソース・ソフトウェア

喜田 真弓

コンピュータ・ソフトウェアには、多くの協力者の作業によって作られるオープンソース・ソフトウェアというものがある。協力者は様々な国にまたがり、そうして開発されたソフトウェアはあらゆる人が無料でダウンロードして利用でき、多くの場合は改変も可能というものだ。

「データ統合には、データベース移行やファイルからのデータ投入といったデータ処理から、複雑な大量データの処理、高いスループットを要求されるリアルタイム・トランザクション処理などが含まれ、企業に散在する様々なシステムの接続方法やフォーマットの違いを意識することなく、それらを素早く簡単に『つなぐ』必要性はますます高まっています。高価で複雑なデータ統合分野のツールはすでに提供されていますが、アシストがTalendに注目したのは、誰もが手軽に入手できるソリューションであるということ。これならどのような規模の企業でもメリットを享受できると判断しました」

特に決め手となったのは、同様の機能を持つDataStage、Powercenterといった大規模向けシステムに比べて、Talendは圧倒的な価格メリットがありながら、単なるデータ連携ではなく、データクオリティ、マスターデータ統合まで実現可能であることが検証結果で明らかになった点にある。

「Talendの拡張性やオープン性に加え、柔軟なライセンス体系も非常に大きな商機となると考えました」と杉乃は言い、今年2月、アシストはTalend社の世界初のリセラーとして販売を開始した。「世界初」のリセラーとなったのは、Talendの製品特性から開発環境としての色合いが強く、これまで同社の販売パートナーはSIerが中心で、パートナー・プログラムはSIer向けのものしかなかったからだと言う。

「Talend社のパートナー・プログラムは、あくまでもパートナーがシステム構築で収益を上げるためのビジネス・モデルを前提にしていました。このためシステム構築を行わないアシストには適したプログラムではありませんでした。SIerは開発案件に紐づけて製品を販売するのに対して、アシストはパッケージそのものの販売およびサポートが主たるビジネスだからです。SIを行わないパッケージ・ベンダーはこれまでに類を見なかったとして、アシストは世界初のリセラーとなり、契約を結びました」

2月24日にはフランスTalend社からヴィンセント・ピノー副社長も来日し、フランス大使館において契約調印式および製品発表会が行われた。同日のプレス発表においても、オープンソースの透明性を高く評価するアシストに対し、Talend社は「ノーサプライズでお客様に提供」をモットーにしているということ、ノーサプライズとは隠し事をしないという意味で、それはオープンソースであるがゆえの透明性ということであり、すべての中身をきちんと確認できる透明性をノーサプライズで顧客に提供しようという姿勢だ、と強調した。

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