3.11以降も変わらない『お役所仕事』に腹が立つやら情けないやら。

2011.05.04

ライフ・ソーシャル

3.11以降も変わらない『お役所仕事』に腹が立つやら情けないやら。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

良い組織には、独自の言葉が生まれて流通する。ステキな会社には、楽しい言葉が溢れている。「言葉」とは、組織運営のための血液のようなものだと思う。

下記は、最近、福岡市内の某バス停のベンチに貼られた「警告文」である。

『このベンチは安定が悪く危険なので、設置者は平成23年5月12日までに撤去してください。期日までに撤去しない場合は、本市において、ごみとして撤去しますので、念のため申し添えます』。


私がこの街に引っ越してきた5年あまり、ずっと、このベンチはバス停にあった。高齢者の方々が、このベンチに座ってバスを待つ姿を何度も見た。このベンチには、広告もなにもない。誰かが、我欲のために置いたベンチではないことは、その佇まいを見たらわかる。きっと、善意の誰かが、街のみんなのためにと置いたであろうベンチである。

そのベンチに、行政は、この貼り紙をする。それも、ガムテープで手荒く・・・。この貼り紙の中では、街の善意の誰かは、ごみを置いた犯人=設置者扱いである。「念のため申し添えます」という文章の執拗な締め方には、悪意さえ感じる。

みんなが使うバス停である。朝早く働きに行く者は、この貼り紙を見て出勤するのである。昨日までバスを待つ人達に尽力してくれたベンチが、貼り紙一枚で、犯人扱いである。このデリカシーのなさには、ガッカリどころか、腹が立つ。

確かに、風雪にさらされたベンチは老朽化が激しい。危険なので撤去した方が良いかも知れない。しかし、「善意」とわかっているものを「悪意」にすり替えてしまうお役所の言葉遣いに熟慮はない。これじゃ「街のための善意」の芽は、根こそぎ摘み取られてしまう。

このベンチは、行政にとっては、ごみなのである。ごみとして扱った場合の処理を前例通りに進めると、きっとこうなるのだと思う。しかし、悪意はないと信じても・・・想像力がなさすぎる。「こんなベンチを置いて・・・余計なことしやがって」という潜在意識が、この言葉からは、透けて見えてしまう。

貼り紙が貼られたのは、4月28日である。東日本大震災から、約50日。あの瓦礫の山をごみとして扱うのかどうかに苦慮をする人達の報道に心を痛めている傍らで・・・被災を免れた地域では、こんなデリカシーのない言葉が、善意のベンチに貼りだされる。悲しいお役所仕事である。どうにかならないものなのか・・・。

3.11以降、どの地域の住民も、最後は、国や地方行政の力が重要だということに気づいた。お役所とどう寄り添うべきかを市民側が考える契機となった。「お役所」を見る視点=期待は、大きく変わっているのに・・・。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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