数字はツールであり、ゴールではない。J1大宮、入場者数水増し

2010.10.27

経営・マネジメント

数字はツールであり、ゴールではない。J1大宮、入場者数水増し

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

サッカーのJ1大宮アルディージャの渡邉誠吾社長は、入場者数水増し計上の責任を取り、辞任することとなった。当件を主導したとされる幹部二名は、社内規程に基づき処分される。今回の不正の動機には観客動員目標が未達になることへの恐怖があった。「だから数値目標は駄目だ。」「数字は人を狂わせる。」そんな短絡的な事は言わずに、今回は、数字に惑わされずに、目標を達成する、部下をマネジメントする方法について見ていこう。

サッカーのJリーグ1部(J1)の大宮アルディージャは、2007年11月11日以降のすべての主催試合58試合で合計11万1000人の入場者数の水増しを行っていたことを発表した。2007年4月に大宮は「09年までに年間観客動員30万人」を目標に定めたが、その目標が未達成になることを恐れたのが今回の水増しの背景のようだ。

ここで「だから数値目標はよくない!」などという短絡的なことを述べるつもりは毛頭ない。数値目標、数値による管理はあくまでもゴール達成のための手段に過ぎず、本来のゴールではないが、非常に有効なツールだ。

一つの数字だけ見ていては何も分からないが、その数字が作られた裏側に思いをめぐらせれば、実は数字は色々と語ってくれる。大宮が2009年までに年間観客動員30万人の目標を立てたのは、もともとは、入場者の拡大によるチケット、ゲーム時の飲食、関連グッズ売上の増加、ファンの増加による関連収入の増加であったはずだ。

また、様々な努力をしなければ、入場者数の増加といった数値を達成できない。つまり、それが本物の数字であれば、その前に様々な施策の実施とそれへのお客様の反応があり、そのお客様から得られる飲食、グッズ、関連事業の収入と実態を伴うものである。だから、それが本物の数字か、水増しされたウソの数字かは、こうしたその数字の裏にあるべきストーリー、実態との整合性を少し考えれば、すぐに見抜くことができる。だから嘘の数字をつくることに汲々としても、まったく無意味。それどころか、失職、刑事罰とすぐに大きなツケが回ってくる。

大宮アルディージャの公式発表によると、今回のケースでは幹部2名が水増しを主導していたとのことなので、あいにくそうしたチェック機能が働かなかった。現場では気づいていても、上の人間がしていることなので、指摘ができなかったのかもしれない。

数値目標、数値管理をどう使いこなすか、数値目標にどう振り回されないようにするかというのは、一サッカーチームだけの問題ではない。ビジネスの世界でも、数値目標、数値管理は何らかの形でほぼすべての企業のあらゆる現場で用いられている。担当レベルから経営トップの様々な意思決定、評価に数字が使われる。その時に誤った数値に基づいて意思決定、評価していては、望むべき結果が得られない。誤った数値が出てくるのは、必ずしも数値目標のプレッシャーに負けての悪意のあるものばかりではない。単に間違い、ミスということもよくある。数値を扱う時には、データを提出する側もそれを使う側も、数字は意図的あるいは誤って正しい数字が出てこないことが多々あるということを、常に頭の片隅に置いておいた方がよい。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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