【 21世紀の国富論 】②

2007.10.01

ライフ・ソーシャル

【 21世紀の国富論 】②

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

もう一度読み返したい本: 【 21世紀の国富論 】② (著)原丈二 氏

■ だから、ベンチャーキャピタリストは、やはり創業者のビジョンを観るべきである。世の中は変わるという本質をつかみ、新しいビジネスモデルを提唱するのがベンチャー企業の創業者であり、そんな起業家には、多くの人が信じなくても必要な資金を提供するのが、かつてもアメリカのベンチャーキャピタルであった。

■ よく指摘されるのは、日本には保守的なベンチャーキャピタルしかないという点。有名な金融機関系列のベンチャーキャピタルの投資行動は、やはり融資に近い保守的な傾向をもっている。そんな会社にスタートアップのベンチャービジネスへ投資しろというのは無理な注文である。金融機関系のベンチャーキャピタルは、後期ステージのベンチャー(テクノロジーリスクでなく、マーケットリスクを抱えた企業)に投資するのが本来の姿である。

■ したがって、新たに創業したベンチャー企業に継続的に投資支援ができ、かつリスクに見合うリターンを出すことができる、まったく新しい仕組みをつくりが必要がある。

■ そこで提案したいのが、「リスクキャピタル」という仕組み。 大きなテクノロジーリスクの存在する初期段階にある技術に対して積極的に投資を行い、これを成功に導いていく。

■ このリスクキャピタルの元となるのは、複数の「事業会社」が集まって新基幹産業を目指し設立する基金(機構、または特別目的会社)によるもの。各社が研究開発費として計上している資金の一部を毎年提供することによって、数百億円単位のリスクキャピタルができるはずである。「外部にある研究開発部門」という位置づけで、自社内部の研究開発とのあいだで協調的な緊張関係をもたせることで技術力を向上させることができる。これにより、リスクキャピタルという仕組みは、事業会社の投資と積極的な関与によって、ベンチャー企業における新技術の製品化を促すという役割を果たすというものである。

~これからの日本への提言~

■ インターネットには、世界のどこにでも無限のビジネスチャンスがあるといえる。なぜなら、インターネット上の応用技術やサービス業は、その国の文化、習慣、法律などに大きく依存しているからである。
テクノロジーの核さえあれば、それぞれの国が「知的工業製品」分野の製造業やサービス業を独自に発展させることができる。

■ 日本の場合、アメリカで生まれたビジネスモデルをコピーして、表面的になぞっているにすぎない製品・サービスが圧倒的に多い。だが、インターネットのサービス業にしても、強いテクノロジーとビジネスモデル・特許に基づいて展開しなければ、突如としてビジネスがひっくりかえこともあり得る。

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