商社マン しんちゃん。 走る! (28)

2009.10.11

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (28)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

【前号までのあらすじ】

海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか?  一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。  ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこでは、日本ではとても経験できそ
うにない体験が待っていた。
いよいよ海外の顧客とのネゴシエーション(交渉)が始まった。
さー百戦錬磨の中東のクライアントにしんちゃんはどう立ち向かう
のか?
クライアントからの突然の難題に、東京に助けを求めるしんちゃん
だが・・・・。
東京のサポートは如何に???

関から替わった電話の受け口に出てきたのは、久振りに会話した
マイクからだった。

「今回のテヘラン商業銀行というのは、既に東京で調査済みなんで
 おますが、イランの銀行の中でも二流銀行という格付けなんで
 おますのや。
 
 このクラスの銀行は、戦時中のイランではいつ破綻するかもわか
 らしまへん。

 そやから、テヘラン商業銀行から発行されるL/C(信用保証状)
 は、いかにL/C言い張りまっしゃっても、最悪のケースを考えた
 ら、はっきり言うて、紙くずになるっちゅうことを覚悟せんな
 りますおすえーー」

 < なんや。 マイクさん。興奮すると京都の芸子はん弁交る
   んかいや? >

マイクは続けた。

「そやけど、どうしてもテヘラン商業銀行でとアロイコさんが言い
 張りまんおやったら、条件をつけるしかおまへんな。
 どんな条件をつけなあかんか、宮田君、わかりますよね?」

 < もー。 いろいろ厄介やなー! >

「何がしかの保証を要求せんななりませんよね・・・当然・・・」

マイクは続けた。

「どうしてもテヘラン商業銀行で!と、アロイコはんが言い張りま
 んのんやったら、条件をつけるしかおまへんな。 

 それは何かゆうたら、さらに国際的に信用度の高い銀行から、テ
 ヘラン商業銀行に対して支払い保証のついた信用状を要求する
 っちゅうことでおます。 
 
 要は、保証をしますっちゅう銀行に、さらなる有力銀行から保証
 を取り付けて下さいということでおま。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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