何故、ホテルに聖書は、置いてあるのか?何故、気になるのか?

2009.09.21

ライフ・ソーシャル

何故、ホテルに聖書は、置いてあるのか?何故、気になるのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

誰もが気になっているはずだ。ホテルに常備されている「聖書」のこと。 エロビデオのプログラムと一緒に引出しに入っていたりするのだが・・・どうしてここにあるのか?不信心な私に、一体、何をしろというのか?

実は、調べてみると・・・・ホテル側が積極的に「聖書」を常備させているわけではないようだ。あの「聖書」は、財団法人の日本国際ギデオン協会という団体からの寄贈品である。
ぜひ、今度、表紙をご覧頂きたい。
それは、協会の名の入った特注版であることがわかる。

その団体のホームページには、次のように明記されている。
国際ギデオン協会とは、世界の188カ国において、交わりと神へのご奉仕のために団結したクリスチャン・ビジネスマン及び専門職業人で組織された協会です。
この協会の目的は、人類最高の文化遺産の一つである聖書が古今東西の人々の精神生活をささえてきた事実に鑑み、この貴重な書物の配布・贈呈を通じて、明るい社会の建設に寄与しようとするものであります。
数多い各派の教会におられる、信仰の友の助けにより、国際ギデオン協会は創立以来14億9000万冊をこえる聖書を、ホテル、旅館、病院、刑務所等に配布し、兵士(自衛官)、警察官、学生・生徒、ナース等に贈呈してまいりました。
日本にこの働きが及んだのは、1950年9月1日に東京に支部がつくられたのが始まりです。以来日本国際ギデオン協会が贈呈してきた聖書の総数は既に3,400万冊を越えています。

要するに、ホテルの「聖書」は、純粋な布教活動の一環なのだ。
この活動に対してホテル側は・・・
①読み物として世界のベストセラーだし、悪いものでもないし・・・
②クリスチャンの多い欧米人のお客様のためにもなるし・・・
③なんかちゃんとしているホテルに見えるし・・・
程度の感覚で置かれている。
宿泊者から宗教上のクレームが入った場合は、何の抵抗もなしに、「聖書」を部屋から引き上げるというのが、ホテル側のスタンスである。

そのホテル側の軽いスタンスとは、反対に、このホテル常備の特注「聖書」には、ちゃんと工夫=編集がされている。
冒頭には、「災難のときの救い」「疲れたときの休息」など、お薦めページの紹介がある。ホテルで災難があったとき、、、自殺したいくらい悩んだ宿泊客が滞在した場合が、想定されていたりするのだ。

出張先で酒を飲んで、ホテルに帰ったらバタンキューのサラリーマン。そういう宿泊客は、最初から、ホテルの「聖書」の存在など、どうでもいいことかもしれないが・・・。
病院や刑務所や大学等が布教の場所として最適なのは、弱い自分が顔を出す時間と空間が用意されているところだ。ホテルの部屋も同じ。ひとりになれる異空間である。日常とは、違う。自分の心を裸にして、自分の人生を振り返ってみたりもする人も居るだろう。マーケティング的に、ホテルの「聖書」は、効率が良い布教活動であるわけだ。

無防備でホテルには泊まる。
そこに、純粋な布教活動の一環として「聖書」が置いてある。
よーく考えてみると、、、ちょっと複雑な気持ちになる。
ホテルの「聖書」が気になる原因は、実は、そういうところにある。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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