坂本龍馬の師匠の師匠に、学ぶ。

2009.08.06

経営・マネジメント

坂本龍馬の師匠の師匠に、学ぶ。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

幕末維新期に活躍した志士と言えば、坂本龍馬に、西郷隆盛に、勝海舟・・・。 これらの猛者達のすべてに絶大な影響を与え、「陰の指南役」と呼ばれた人物が居るのをご存じだろうか。

明治維新の先覚者・横井小楠である。当時の、政事総裁職と言う幕政トップの位置に居た福井藩の藩主・松平春嶽に招かれ政治顧問となり、明治維新の獅子達と大胆に交わった。

勝海舟は「氷川清話」の中で「おれは、今までに天下で恐ろしいものを二人見た。それは、横井小楠と西郷南洲とだ」と評している。坂本龍馬は「西郷や大久保たちがする芝居を見物されるとよいでしょう。大久保たちが行きづまったりしたら、その時、ちよいと指図してやって下さい」と小楠に語り、吉田松陰は「ぜひ萩に立ち寄って藩の君臣を指導してほしい」と懇請している。

小楠が幕府に提出した「国是七条」と福井藩に提出した「国是十二条」は、坂本龍馬が作成した「船中八策」と「新政府綱領八策」の下敷きとなっている。由利公正が起草した「五か条の御誓文」もその影響を受けている。この先覚者を抜きに維新はありえなかったと言っても過言ではない。

小楠は、アメリカに留学させた二人の甥にこんな言葉を送っている。「何ぞ富国に止まらん、何ぞ強兵に止まらん、大義を四海に布かんのみ。 」その訳は、こうである。「自分の国を豊かにしょうだとか、強い兵を持つ国にしようかではない。世界の平和に貢献するんだ。」

これは、開国する以前の話である。尊王だ、攘夷だ、鎖国だ、長州征伐だ、国内でいざこざをやっている時に、小楠は日本の将来を「世界平和めざす国」として捉えていたのだ。世界を見ている次元が違う。やたらでかくて痺れる。その志の大きさに、勝海舟も、坂本龍馬も、頭を垂れたのだ。民主党だ、自民党だ、、、お互いの足を引っ張ることばかりに躍起の、昨今の私利私欲にまみれる政治家は、ぜひぜひ、見習って欲しいものだ。

小楠とお金にまつわる話しには、こんなものがある。文久の幕政改革は、徳川慶喜上洛問題が障害の一つとなっていた。上洛のための予算は、約150万両。財政が逼迫する幕府は、その出費を拒む。また、経費削減をして上洛することに対して面子が潰れるとごねる。

その中で、横井小楠が、幕政改革論を提出。その内容に、大目付岡部長常は、感服。上洛は断行されたのだ。1両は、今の貨幣価値で6万円で換算するのが通説だということなので、現在の費用にすると900億円ものお金が、小楠の大義ある説得によって決済されたのだ。

小楠の主張は、常に「日本を共和一致の平和な国家にしなければならない」であった。腕っぷしの喧嘩は似合わない。血なまぐさい戦いも違う。怒らないで、話し合う。刀や鉄砲を懐にしまうのではなく、大義を天に掲げる。一番正しい大人の喧嘩とは、絶対、無血である。時代への正しい喧嘩の売り方とは、こういうことである。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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