パンデミック対策の前に、正しいリスクコミュニケーションを。

2009.04.25

経営・マネジメント

パンデミック対策の前に、正しいリスクコミュニケーションを。

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

最近、パンデミック対策のコラムを書くと「パンデミックの本当の恐ろしさを知らない」というご指摘を様々な方から受けるようになってきました。 では「本当の恐ろしさ」とは何者なのでしょうか?

パンデミック対策の実務者向けのソリューションを提供する中で、常に話題となるのが「リスク想定」のお話しです。
正直申し上げて、パンデミックが発生した場合にどれくらいの感染者が発生して、どれくらいの死者が出るのかはわかりません。

単純に考えるならば、H5型(強毒性)のウィルスが蔓延すれば映画『感染列島』のような世界になるでしょうから、最悪は半年~1年間は自宅に篭城して過ごすことになるのかもしれません。

しかし、人から人へ感染し拡大する新型インフルエンザがどのようなものになるのかは誰も分かっておらず、ただ新しいインフルエンザが発生するという予測が立っているだけなのです。

逆に、H9型、H1型等(弱毒性)で、冬に発生したとすれば、毎年冬に発生するインフルエンザと合わさって、発見や対処が遅れる可能性もありますし、頻繁に変異しているのもH9型やH7型だと言われているようですので、こちらは下手に薬を使えば抵抗力がついてパンデミックの期間が延びる可能性があるとも言えます。ワクチンは変異されたウィルスには効果が薄まる可能性もありますから。

しかし、そもそもパンデミック対策は「封じ込め」であって、パンデミックになったらどうなるのかを予想することではありませんので、ただ感染ルートを減らし、感染者を減らして対抗するだけのことではないかと考えるわけです。

そもそも2008年秋に推定死亡者数を最大64万人と発表した厚生労働省でも、今年1月には最大200万人に引き上げることを検討していますし、欧米の対策状況を調べながら有識者による検討もなされています。

ただ、隣国のミサイルの時もそうですが、日本はリスクに関する説明や行動計画の策定には慣れておらず、そういった危機的状況を踏まえた冷静なコミュニケーションをとることが苦手ですので、パニックを恐れて被害予想を小さくするようなことではなく、正しい発表、正しい対策、できるところからの行動をきちんと伝えていく必要があるのだと思います。

「パンデミックの本当の恐ろしさ」という点で考えるならば、何も準備をしていなくて、どうして良いのか分からなくて、個人個人で対応がバラバラで、煽動する情報が溢れて、パニックになる。ことではないかと思います。

結局「パンデミックは発生するまでどうなるか分からない」という前提の下、何をどこまでやるのかを考えておく必要があるのではないかということだけ、お伝えできればと思います。

※厚生労働省のリスクコミュニケーションに関する発表資料
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-13.pdf

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荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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