新型インフルエンザ拡大(パンデミック)が発生すると、対策を講じていない企業は操業停止に追い込まれる可能性をもっています。そして対策が分からないままに、感染した社員を感染症予防法に従い休業扱いとするしかなくなりますので、これらの影響について考えてみます。
このコラムでは、実際にパンデミック(新型インフルエンザの拡大)になった場合の最も一般的で、会社員の方や労働組合の幹部の方に考えて頂きたいケースを書いてみたいと思います。
それは「2ヶ月間も無給で生活は大丈夫ですか?」というお話しです。
新型インフルエンザが拡大して仮に操業停止になっても、賃金が保証されると既に発表されている企業にお勤めの場合には関係ありませんが、そのような企業はあまり耳にしません。
※本コラムは、H5N1型(強毒性)によるパンデミックを想定して書いています(5月1日追記)
パンデミック発生時の全体の流れを考えると、発生してから沈静化するまでの数ヶ月間が大変なのであって、沈静化した時に会社が存続していて働けるということが重要です。ただ自宅に備蓄だけをしていても会社が無くなってしまうと困りますので、そのための対策を考える必要があります。
さて、現在パンデミック対策の「予防措置」を講じている企業が増えてきていますが、備蓄を含めた「行動計画」を準備している企業はあまり多くはありません。
それは発生するかどうか判断がつかないためとも言えますが、実際には専門家が口を揃えて「必ずパンデミックは発生します。大規模地震よりも確実に発生します」と公言していても、なかなか対策が進んでいないようです。
重要なことは、中国や東南アジアでパンデミックが発生した場合は、1週間以内に日本でもパンデミックが発生すると予想されていますし、厚生労働省は新型インフルエンザ発症者には8週間の自宅待機(無給休業)を奨励しているということです。
さて、パンデミックが発生すると、感染症予防法(正しくは「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)及び省令・政令に従って、会社は社員の勤務を停止させることができます。また、この法律の第4条には「国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。」とあります。
そして一般的には、勤務停止期間は無給です。正規雇用社員であれば健康保険組合の休業補償を受けることは可能です。但し、会社から正しく申請がなされて組合に受理され、そのプロセスに関わる方々が皆さん感染していなければという条件付きで、賃金の基本給の60%が給与振込口座に振り込まれることになります。全員が感染していなければ…のお話ですし、基本給の60%です。そして派遣社員や契約社員であれば無給となる可能性が限りなく高いのです(詳細については、登録派遣会社に聞いてみて下さい)。
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