“今できる”ではなく“常にできる”教育を(後)

2009.04.09

ライフ・ソーシャル

“今できる”ではなく“常にできる”教育を(後)

寺西 隆行
(株)Z会

大学生に「基礎的一般教養をきちんと教える」ということはどういうことか?

本投稿記事は、毎日更新中のZ会ブログ
http://www.zkaiblog.com/histaff/
の話題を元に、本サイトの読者層に合わせた形で修正しております。

▼前編はこちら
http://www.insightnow.jp/article/3172

前編で

大切なのは「やり方」を忘れてしまっても、また「やり方」をさらっと学べば「あーそういえばそうだった!」と思い出し、すぐにできるようになる―
そんな人間を輩出することでしょう。

と述べました。

そして、そのためには…ということですが、抽象的な回答が許されるとしたならば、よく言われるとおり「本質から理解させる」ということがやっぱり大事になります。
そして、「本質から理解させる」時に気をつけなければいけないのは

「“相手”が“理解”する、この1点に集中した教育」

を施すことではないでしょうか。

通分を初めて学ぶ小学生に教えるとき…ケーキやピザなどを使って、1/2切れ、1/3切れなどを作った上で「足すとどれくらい?」を教えることが多いかと思います(違いましたかね。。。)。
分母の大きさを見える化することで、「なぜ分母をあわせるのか」を体感する手法です。

小学生、という時期にこの手法を用いることは「本質から理解させる」1つの手法でしょう。
しかし、大学生に教えるとき、この手法を用いることはどうでしょうか?
―答えはNo.「くだらねー」で終わり、本質を理解させることなど遠ざかるだけでしょう。

教え手がいくら「分かっていないんだから本質からしっかりやらないとダメだよ」といっても、大学生は聞いちゃくれないでしょう。
相手の懐に全く入っていませんから。。。
とはいえ、「分母の最小公倍数を見つける」というテクニック論だけ教えても、しばらくたつと忘れてしまうこと、間違いありません。「やり方」を教えただけですので。

繰り返します、「“相手”が“理解”する、この1点に集中した教育」が大事なんです。
そのためには、こと、大学生の場合

・相手の興味関心のあるところから話題を入り
・できるようにさせ
・できるようになった時点で反復演習させ身につけさせ
・身についたところで「なんでそういう操作が必要か」を振り返らせる

なんかが有効です。

文学部の学生であれば、ベストセラー『博士の愛した数式』から授業に入るのも面白いかもしれません。
経済学部であれば限界効用を考える数式で繁分数のあめあられなのでそこから。
法学部であれば土地などの持分を計算するときにきっと通分のシチュエーションがあるでしょう。。。

次のページ「“相手”が“理解”する、この1点に集中した教育」

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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