ミッション経営

2009.03.25

仕事術

ミッション経営

猪熊 篤史

企業活動に自由はない。あるのは選択の自由である。

企業活動のプラットフォーム、あるいは、基盤となるオペレーティングシステムとして経営理念やビジョン、あるいは、ミッションがあげられる。これらが表すのは企業活動における価値観や考え方、あるいは、目標や目的である。逆に言えば、理念やビジョン、あるいは、ミッションという名目で、経営の土台となるものを表現することができる。

目標や目的、ビジョンやミッションなしに組織的な活動を展開することは不可能である。「お金持ちになりたい」、あるいは、「有名になりたい」という目標が漠然とあったとしても「なぜそうしたいのか」や「そのためにどうするのか」が明確に描けなければならない。

経営に自由はない。明確な目標や目的、あるいはビジョンを持たない経営は暗闇のなかをさまようことになるだろう。それは明かりを見つける旅であり、使命に気付くための戦いのようでもある。真っ暗闇の中で自家発電するエネルギーがなけれは、永遠に続く旅や戦いの一つの章を完結することはできない。

企業活動はそうなるべくして一つの幹線へと向かうようである。暗闇の中で、どちらの方向に向かうかは自由だが、ある程度整備された、あるいは、走行が比較的容易な幹線は、無数にあるようで、実はそれほど多くはない。全く別の進路の探索に時間やエネルギーを浪費し過ぎると選択すべき進路にたどり着く前に倒れてしまうかも知れない。

選択する幹線には不思議な傾向がある。それはしっかり目を見開いて、周りの状況に注意しながら、かつ、惑わされずに進む限りにおいて、決して他の幹線と交錯することはない。

企業の数だけ、進路を示す幹線はある。それらは上空から見ると交錯しているように見えるが、実際に走行すると決して交錯することはない。

もっとも、意図的に、または、知らず知らずのうちに、大きな幹線に並行した幹線を走っている企業は多い。また、経営統合などによっていくつかの企業が進路を統合することもある。企業は同じ方向性を持つ進路の集合体である。

闇雲に走り回っているように見えても、ある程度の距離を走ると、必要なチェックポイントを通過しながら、一つの目的地に向かって進んでいたことが分る。

進路に分岐点はあるものの、十分な注意を払って、必要なルールを守って、選択した幹線を進むことが大切である。

幹線は時々途切れることもある。その時は新たな進路を見出す力が試される。新たな幹線を見出し、選択したら、その幹線を自信を持って進むべきである。時には、新たな進路を開拓していかなければならない。

【V.スピリット No.104より】

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