事件は現場で起こっているんだ!と言うけれど

2009.03.04

経営・マネジメント

事件は現場で起こっているんだ!と言うけれど

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

事件は現場で起こっているんだ!現場の気持ちを大事にしたいんです。ビジネスの現場を知りたいんです。最近、現場という言葉をよく聞きます。でもね、思うのです。現場って何?と。

 事件は会議室で起こっているんじゃないんです!

 そりゃそーですが、会議室はいらない?

 それとも、いる?

 多分、多くの人が、一応いるんじゃないか?と思ったと思います。

 そして、織田裕二のような刑事さん、捜査をする人はいらないのか?と言いますと、要りますよね。

 要るんですよね。両方。

 総合電気メーカーを思い浮かべてみましょう。

 現場はどこなんでしょうね?

 設計でしょうか?

 製造でしょうか?

 販売でしょうか?

 どこでしょうね。

 それとも、経営陣が会議している場所が現場でしょうか?

 私、現場という言葉がちょっと嫌いなんです。

 私は、モノを売ったこともあります。

 私は、関連会社との調整で、メッセンジャーボーイばかりしていたこともあります。

 私は、商品のプランを立てたこともあります。

 私は、営業企画をしたこともあります。

 新規事業の企画をしたこともあります。

 で、何が現場だったんでしょうね。

 全部、現場ですよね、それぞれの仕事の現場ですよ。

 それぞれの仕事が、それぞれ貴い。

 これは、いつからこうなったのでしょう?

 明確にこういう概念になったのは、バリューチェーンが出てきてからですね。

 ポーター先生によって、付加価値概念、ビジネスプロセスというのは、価値を積み重ねていって、価値の総体に至るもの、という考え方が確立されてからです。

 営業マンも、バックオフィスがないと困ります。

 売った後、入金の消しこみまでやってられないですよね?

 そういう仕事をどこかにアウトソースすると、それだけでお金がかかりますよね。

 それぞれが、価値ある仕事をしているんです。

 現場、現場と絶叫する人は嫌いです。

 現場の気持ちを!とか、現場の意思です!とか。

 プレゼンスメイキングの道具のように聞こえます。

 というか、プレゼンスメイキングだけで生きているような人もいますよね。私はそういうのは下手なので、余計イヤなんでしょうね。

 でも、現場という言葉を自分のプレゼンス作りには使いたくないのです。

 そういう匂いのする言葉、私はとっても苦手です。

 ポーター先生が付加価値概念をしっかり整理してくれたお陰で、本当は「現場」なんてなくなったんですけどね。

 未だにそういう亡霊?を使っている人もいます。

 私は自分の美学にこだわりすぎているかもしれません。そんな美学はどうでもいいから、人を動かせばいいんでしょ?と冷ややかに、お世話になった方々は言います。

 確かに。動けばいいんです。動けばね。

 そんな手段を使わなくても、動かして見せますよ。

 ええ、動かして見せます。関わる人々がハッピーに成長する場を作り出してみせますよ。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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