センター試験など、入試問題の著作権は?

画像: PhotoAC 紺色らいおんさん

2009.01.20

仕事術

センター試験など、入試問題の著作権は?

寺西 隆行
(株)Z会

センター試験が終わり、予備校・塾などで解答・解説・分析が花盛りですね。 教育業界が注目される良い機会なので、皆さんに知っておいてもらいたいこととして「入試問題と著作権」について触れたいと思います。

対して

◆代々木ゼミナールは「国語」の問題を掲載していません。(他の問題はすべて自サイトのものとして掲載)

これは、現代文の問題の著作性が高いため、抵触する恐れを優先して「載せない」を選んでいるわけですね。

◆東進は国語の問題を自社サイトの問題として掲載しています。

これは、文章の著作者に許諾を得ていなければ、著作権法に抵触する可能性が極めて高いのです。
実際のところはわかりませんのでなんともいえませんが、Z会では入試後すぐ、というスピードで著作権者の確認と許諾が取れることがまずないため、サイト上での問題掲載もしておりませんし、問題集として発刊するときにはしっかり著作権者にお金を支払う形で掲載しています。
(その分掲載スピードはどうしても遅くなるのですが…)

「予備校各社の入試問題のサイト上での問題は、報道機関のサイトにリンクすることで、著作権法を守ろうとしている」

って、意外と「へぇ~~~」じゃないですか?(笑)

最後に。

著作権を持っている人の権利は最大に尊重すべきです。

しかし一方で、その権利を守ろうとして、かなり高額の料金を著作者に払っている教育企業が、その分利益を圧迫し、逆に権利を守る姿勢のない、けれど世の中の人が「どれくらい著作権使用料が発生しているか」なんて知らない(し、意識しようともしない)盲点をついてバンバン問題使用をしている教育企業がその分利益になる、という構造上の問題が、教育業界にはあります。
入試問題なんてかなりの数で扱うわけですから、大きな企業になるとかなりの高額なんですよ、年間でかかる使用料って。
#Z会はしっかり著作権料を払っていますし、その分の費用を(申し訳ないですが)お客様にも負担していただくことで、利益も出し、社員も飯食べていけますけど(笑)

また逆に、「著作権」という権利意識が日本において希薄であった頃は、(現在にあてはめると)「守っていない」という行為がかなりあり、それはそれで仕方なかったんです。
そして、そのときに地方で教育を志し、一生懸命運営していた地方の塾にとっては、今、著作権を守ろうとすると、経営自体がやっていけない、という悲しい現実もあります。

真摯で、誠実にやっている企業の方が泣きを見ている現状が、教育系企業の「入試問題の提供」という部分にはありますので、なんかイヤですよね。
教育、だからこそ、真摯・誠実に競争し、そしてそれがお客様に還元できるような業界であってほしいと思っています。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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