反戦×男はつらいよ=『こち亀』論。

2008.12.24

ライフ・ソーシャル

反戦×男はつらいよ=『こち亀』論。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

知るヒトは少ないと思うが。国民的漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者・秋元治さんの実質的デビュー作は、『平和への弾痕』というベトナム戦争末期のアメリカ軍部隊を描いた反戦漫画である。物語は、極限状態にあって己の信念のために戦うものたちを、命の儚さ、戦争のむごさを通して描いている。

この反戦漫画を書いている反動で、気分転換に書き始めたのが『こちら葛飾区亀有公園前派出所』だったらしい。始めに書かれたのは、1976年、ベトナム戦争終戦の翌年である。

秋元治さん自身がインタビュー「このマンガがすごい!2006年・オトコ版」で
『振り子みたいにフラーッと。絵は劇画調のままギャクを描いて、ヤングジャンプ賞に応募したら、変わっているということで目にとまって入選して・・・』と答えている。
さらに、
『どうせ10話で終わるって思っていたんですけど、編集長から「このまま続けたい」って言われて。さすがに続けられるのか悩みましたね。でも最初の担当 さんが、「下町云々にこだわらず、どんどん広げていこうよ」って言ってくれて。それで中川も再登場させて、趣味のミリタリーとかクルマを出していくようになった』らしい。
気分転換で始めて、どうせ10話で終わると思っていたのが、30年を超える国民的ベストセラー漫画になったというわけだ。

コメントにあるように初期の『こち亀』には、反戦的なセリフや、武器の数々が出てくる。
その第4巻(単行本は2008年12月現在162巻まで発刊中)では、中川という相棒を連れて他の派出所に応援に行くことになった両津という破天荒な巡査長が・・・
『神国日本のど根性をみせたろうじゃんか!』と叫んでいる。

また、寒いからと派出所の銃を火にくべるシーンでは、
中川が『天皇陛下バンザーイ!』と・・・
それに主人公の両さんは『おお みごとに もえている』と応えている。
※参考ホームページ

のどかな下町話かと思っていたら、見事に反戦だったのだ。
恐るべし『こち亀』。

アメリカ軍服が、日本の警察の制服へ。
ベトナムのホーチミンが、東京都葛飾区亀有へ。
気分転換で書き出したとはいえ、主人公を国家権力のある警官とし、その性格を破天荒で無計画で、周囲に迷惑を掛けるトラブルメーカーとして描いているところが深読みできて面白い。

さらに作者の秋元治さんのウィキペディアには、
『男はつらいよ』のファンであり、DVDも全巻持っている。『こち亀』の設定では両津は『男はつらいよ』にエキストラで出たこともあるという。『カメダス2』では「勘吉はつらいよ」というポスターを付録に付けるなど度々パロディを描いている。また、19巻・66巻・145巻では両津が柴又へ行き『男はつらいよ』の解説をしている話もある。63巻の巻末コメントは『男はつらいよ』シリーズの監督・山田洋次であり、「こち亀に寅さんが出たり、または男はつらいよに両さんが出たりするのはどうだろう?」と提案(実現には至らなかった)。とある。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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