犯罪に、意味は必要なのか? 消費者に、ニーズはあるのか?

2008.11.30

ライフ・ソーシャル

犯罪に、意味は必要なのか? 消費者に、ニーズはあるのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「年金テロ」かと大騒ぎした事件は、単なる過激なクレーマーの犯罪。ワイドショーでは、いろんなコメンテーターが、わけ知り顔で、いちいち推理していたが、全部、大外れ。 犯罪に「意味」は、そんなに必要なことなのだろうか?

犯罪が、「個人の闇」に向かって行われるなら、
消費は、「個人の兆し=未来」に照らし合わせて実行される。
そして両者とも、その動きを導き出しているものは、理屈ではない。

マーケティングリサーチのデータは、残念ながら、過去のものだ。
アンケートに答える行為自体が、過去を見る行為だ。
その過去の集積から、
得たいの知れない兆しを感じることができるかどうか。
それが優秀なマーケッターには求められる。
世の中のヒット商品の裏側には、
そういう理屈では語り尽くせない得体の知れないセンスが必ずある。

ゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげるさんが、「人間は得体の知れないものをほっておけない。暮らしに安心をもたらす智恵として『妖怪』を編み出した」という旨の発言をされていたことを思い出す。

先人は、人智を超えた理解できぬものに、すべて名前をつけて妖怪のせいとした。それは、その事件や出来事を突き詰めて、理屈で整理してもろくなことはない。その得体の知れないものの犯人探しを止める=思考を停止するという「知恵」なのではないだろうか。

「この世には、妖怪がいる」そう感じて暮らしていたほうが犯罪の抑止になるし、コミュニティの平和も長続きする。
そういう考え方が生まれたのは、長い人間の歴史の中からだ。
そういう「妖怪」は、確かなフィールドワークで生み出された。

歴史もなく、ろくなフィールドワークもしてない評論家ほど、憶測で事件を判断する。
机上だけで、足で情報をかき集めないマーケッターほど、ヒット商品の裏側を理論で語りたがる。

犯罪の裏側にも、ヒット商品の裏側にも、
顔は違うが「妖怪」がいる。

なんでもかんでもに「意味」を求めた的はずれのコメントを聞くより、ニュース報道には、確かなフィールドワークを見たい。
マーケッターには、妖怪=兆しを察知する確かな直感を期待したい。

「みんな賢い方がよい」という風潮は、馬鹿な事件を誘発する。
「マーケッターは論理的な方がよい」という期待は、使えない戦略や商品を、巷に溢れさせる。
どうしよう?
今晩あたり「ぬらりひょん」にでも相談してみよう。
※絵は、佐脇嵩之『百怪図巻』より

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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