プレゼンを科学する
 ~ジョブスに挑戦(3)「Voice編」

2008.11.02

ライフ・ソーシャル

プレゼンを科学する  ~ジョブスに挑戦(3)「Voice編」

家弓 正彦
株式会社シナプス 代表取締役

声は持って生まれたものなので変えようがありませんが、 その「声の使い方」は様々な工夫ができるはずです。 今回も、ジョブス、キング牧師、田中角栄、チャップリン、 リンカーン、ヒットラーを題材に考えてみました。

(1)スピード


一般に、プレゼンでは早口になる方が多いようですね。
これは、緊張に起因することが多いと思いますが、
できれば、しっかりコントロールしたいものです。
自分にとって通常よりスピードを落とす気持ちで話すと良いようです。

しかし、、、

個人的にはスピードは単に遅いことが良いわけではないと思っています。
早くスピーディーに話すことで、エネルギッシュなイメージを与えます。
逆に、ゆっくり話すことで、自信や信頼を表現できるのではないでしょうか?

こうなったら、自己演出ですね。
今の自分をどのように「見せたい」「見られたい」のか?
そんなことを考えながら、スピードコントロールしたいものです。

(2)ボリューム


基本は大きな声でプレゼンすることが望ましいのは言うまでもありません。
しかし、これもむしろ「抑揚をつける」ためにコントロールしたいものです。
何を強調したいのか?どのフレーズを印象づけたいのか?

結局、この「スピード」と「ボリューム」の効用は、
 ・抑揚をつけてプレゼンにメリハリをつける
 ・強調ポイントを明確に示す
という効果が期待できるはずです。

しかし、スティーブ・ジョブスのスピーチをVoiceという視点で見ると、
あまりこのボリュームによって抑揚をつけているわけではありません。
どちらかというと「淡々と」語りかけているように感じます。

そこで、「トーン」という要素が、
かなり重要な役割を果たしていることに気づきました。

(3)トーン


実際には、この「トーン」がプレゼンの印象を大きく左右するように思います。
この「トーン」とは、スピードやボリュームに加え、口調や声質などを
駆使することでスピーチ全体のイメージを変えることができます。

前述のように、ジョブスは淡々と語りかけるようなトーンでした。
これは、クールで信頼感を感じさせます。

キング牧師の「I have a dream Speach」では、
16分のスピーチ全体で、トーンを徐々に変化させています。
スピーチの冒頭では、ゆっくりとひと言ひと言かみしめるようなスピードで、
少しボリュームも押さえぎみです。
そこから、徐々にスピードは上がり、ボリュームも大きくなっていきます。
最後は、身ぶり手ぶりも大きく、拳を突き上げるしぐさなども使って、
エキサイティングな高揚感を演出しています。

聴衆は大興奮ですね。(^^)

もう一人、参考事例を、、、

これも「Prologue編」で登場しましたが、「田中角栄」。
田中角栄が「日本列島改造論」を語る時は、多いに力強さをアピールしています。
声には力がみなぎり、大きな声で叫ぶ。身振り手振りもフル活用です。
一方では、街頭演説で庶民派をアピールする時は、
トーンを押さえて、近所のオヤジが親しい仲間と話をしているかのような
親しみにあふれた喋り方をするんです。
まるで、一人を相手に語りかけるような印象です。
田中角栄もプレゼンの天才ですね。

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家弓 正彦

株式会社シナプス 代表取締役

マーケティング戦略を中心としたコンサルティング、マーケティングに特化した教育プログラムの提供を行っています。

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