メンタルヘルスの知見がベースの悲しきターゲティングフレーム

2008.09.26

営業・マーケティング

メンタルヘルスの知見がベースの悲しきターゲティングフレーム

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

コンテンツビジネスにおいては、サイコグラフィックにマスを切っていく枠組みが非常に重宝されますよね。結局、ニッチ訴求ではない枠組みが求められるからです。超大作映画はニッチをターゲットにしても回収できません。

 あれは、中位6割の人をターゲットにしているから、ああいう見出しになり、売れるんですね。夕刊紙は普通の人をターゲットにしているんです。

 そして、アメとムチで行動させようとすると、持続的に行動できる。

 ・・・。私はこの知見を使うたびに悲しくなります。より知的な社会を目指して企業活動をしていますが、人間とはこういうものである、という知見がある。

 それが悲しい。私にも、恨んだり、斜に構えたりする部分はあります。自己成長レベルではないんでしょうね。普通の人に訴求するには、こういうメッセージのほうがいいんです。なんか悲しいですね。

 さて、気を取り直して最後です。メンタルヘルスレベル下位20%の人をなんと言うか?

 疾患レベルです。

 つまり、心が病気の人という意味です。これもまた悲しいですね。

 このレベルの人々は否定に耐えられません。

 だから、「大丈夫だよ!」というメッセージに反応します。

 そのままでいいんだよ。ここにいていいんだよ。というメッセージです。

 エヴァンゲリオンの最後、「ここにいていいんだ」というメッセージはメンタルヘルス下位の人をターゲットにしたメッセージなんですね。

 書店でも、「あなたは絶対運がいい」とか「あなたはそのままで大丈夫」という本がありますが、そういう本はこういった疾患レベルの人をターゲットにしているんですね。

 マス市場を相手にしている人は、この枠組みをベースにした知見を意識的、無意識的に関わらず使っています。

 私はこれを使うと、けっこう悲しい気持ちになります。

 人は成長を求めている。しかし、未だその途上にいる。成長の道は未だ果てしない。私の事業だけでは、より知的な社会の実現はまだまだ遠いなあ、と。

 ちょっと感傷的になりましたが、これは使える、効果的なフレームワークです。

 マス市場をターゲットとした商品のコンセプトワークに関わる人はそんなに多くはないかもしれませんが、知っておいて損はないと思います。

 ターゲティングに関してはポツポツ書いていこうと思いますので、今後ともお楽しみに。それでは、また。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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