ハピネスと企業価値の密接な関係

企業力に、「人」のもたらすパワーが問われる時代。従業員と顧客の「ダブル・ハピネス」が、企業価値に意味するものとは・・・。

人財(ヒューマン・キャピタル)、情的資本(エモーショナル・キャピタル)、ダイバーシティ、エンゲージメント・・・。最近、日経を読んでいて、目についたキーワードです。人の力が企業価値に与えるインパクトがこれほどまでに問われた時代は、未だかつてなかった。日本だけではなく、今日、アメリカの流通業でも、「商品→サービス」という価値の進化からもう一歩飛躍して、「感情価値」の提供ということが熱い注目を浴びています。

流通業で顧客の「価値階層」を三層に分けて考えると、最下層が商品やサービスそのものの機能、中間層が提供プロセス(“デリバリー”)、そして最上層が感情(体験)になります。最下層と中間層が、いわゆる「ビジネス・モデル」を構成するごく基本的な要素で、これは模倣が可能です。未成熟な消費市場においては、これら下の二層だけをクリアすればいいわけですが、市場の発展が進むと、感情(体験)という、より高度な価値を満たす必要性が出てくるわけです。日本やアメリカのような高度消費社会においては、この「機能」、「提供プロセス」、「感情」という三つの価値をすべてカバーし、「トータル・エクスペリエンス」を提供することが必須になってきていると思います。

「感動を生むサービス」は、リッツ・カールトンやディズニーなどといったホスピタリティ・ビジネスの領域では当たり前のこととして語られてきました。しかし、今日では、「お客様との触れ合いを通して感動を創造する」というコンセプトが、流通業界にも移植され、重要視されてきている。商品だけの勝負だったら同じようなモノがどこでも買える、という時代に、唯一残された差別化のカギとして、「感情」や「体験」にフォーカスが置かれてきているのです。

しかし、「お客様との触れ合いを通して感動を創造する」というのは、まさに、「言うは易し、行うは難し」です。気の利いたサービス・ポリシーや心地よい環境といった「器」だけの問題なら、簡単に真似されてしまいます。「あの会社ならでは」と噂されるような感動体験を提供するのに不可欠な要素とは、いったい何なのでしょうか?

私は、それは、「サービス文化」だと思っています。性格も、経験も、嗜好も、生まれ育った環境も異なる人たちが、会社という組織を代表して顧客との接点に立ち、「その会社ならでは」の体験を提供するためには、「感動を生むサービス」を軸とした企業文化が欠かせない要素になると思います。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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