東証AIMの可能性

2008.09.10

経営・マネジメント

東証AIMの可能性

入野 康隆

先日、東京証券取引所をクライアントさんとともに訪問し、 東証AIMのお話を担当者の方から聞いてきました。

東証AIMとは?

ロンドン証券取引所の新興市場AIM(Alternative Investment Market)をモデルに、東京証券取引所が日本で新たに立ち上げる予定の新興市場のことです。

個人投資家を排し、プロ投資家(機関投資家と金融資産3億以上の個人)限定というのが大きな特徴です。

市場が開設されるのはまだまだ来年以降の予定ですが、
マザーズやジャスダックなどの既存市場の問題点を解決する可能性を秘めているので、ベンチャー業界に関わる者としては、非常に期待しております。

■ 東証AIMの可能性1: J-SOXと四半期開示の義務がない
ベンチャー企業にとっての悩みの種はJ-SOXと四半期開示。

上場前には内部統制の整備に膨大なコストと時間を費やし、上場した後でも四半期決算の開示負荷が大きくのしかかります。

東証AIMはJ-SOXや四半期開示は上場要件ではないので、ベンチャー企業にとってはずいぶん楽になります。

■ 東証AIMの可能性2: 資金調達額は今よりマシに?

最近の既存の新興市場の市況は悪すぎます。

08年1-6月の新規上場企業は24社のみ。
上場による資金調達額が5億円以下であった企業が全体の61%にも上り、
新規上場時の公募価格の平均PERは15倍弱と歴史的低水準にとどまっています。

一方で、ロンドンAIMの平均PERは約30倍とのこと。

投資家はプロなので、厳しい企業価値評価にはなりますが、少なくとも今の日本市場のPERよりはマシということです。

■ 東証AIMの可能性3: 上場後の株価暴落は少ない?

日本の既存市場の現状は、IPO直後に個人投資家が群がり、あっという間に引いていくのが典型的なパターン。

ロンドンAIM市場は良くも悪くも流動性はあまりなく、
中長期的な観点から企業価値を評価したプロ投資家が売買をするので、
経営者が個人投資家に惑わされなくてすみます。

■ 東証AIMの可能性4: 海外からの投資

既存の日本の新興市場は海外の投資家が本格的には参加していません。日本企業だけが上場していても限界があるのです。

ロンドンAIMは上場会社のうち20%がイギリス国外の会社というグローバルな市場です。

東証AIMもアジア諸国などの海外企業が上場し、海外の投資家がより関心をもつような市場になるかもしれません。

国内の投資家より海外の投資家に評価されやすいグローバルなビジネスをしている企業は海外からの投資マネーを期待できるかもしれません。

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