京都花街の経営学(5)売れっ子芸舞妓の要件

2008.07.10

ライフ・ソーシャル

京都花街の経営学(5)売れっ子芸舞妓の要件

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

西尾久美子氏は、花街に詳しいある外国人から、 「芸舞妓とはバレリーナとキャビンアテンダントと  ウェイトレスを一緒にした人」 と教えてもらいました。 なるほど、なかなか言い得て妙ですね。

ただ、西尾氏は最近、上記の定義に

「コンシェルジュ」

を付け加えることにしているそうです。

芸舞妓は、日本の伝統芸能(日本舞踊、唄、三味線、茶道など)
について高度な知識とスキルを持ち、日々鍛錬を欠かさない点
において「バレリーナ」に喩えるのにふさわしい。

同時に、「お座敷」という

各種サービスの組み合わせの柔軟性が極めて高い

職場において、顧客のニーズに応じて臨機応変に対応できる

「高品質な接客サービス」

を提供するという点において、
キャビンアテンダント(客室乗務員)、ウェイトレス、
コンシェルジュのそれぞれに要求されるサービススキルを
併せ持っている必要があるということでしょう。

さて、売れっ子芸舞妓さんになるための具体的な要件ですが、
この世界では、ひとことで言うと、

「座持ち」

という言葉で表されます。

“お座敷に呼ぶんやったらやっぱり座持ちのええ妓やなぁ、
 べっぴんさんだけやったらおもろうないわ”

とお客が言い、

“あの妓は座持ちがええさかいに、お座敷をまかせられるわ”

とお茶屋のお母さんが言う。

また、ある有名な小料理屋のお母さんは、
お客から特にこの芸舞妓さんという指名がなければ、
日頃の料理屋のお座敷での芸舞妓さんの様子を見ておいて、

“座持ちのよい妓に頼む”

のだそうです。

つまり、

「座持ちが良いこと」

が、売れっ子になるための最も大切な要件と言えます。

では、「座持ち」とはどんなスキルでしょうか?

西尾氏の分析によれば、座持ちの基本にあるのは、

「お客の気持ちを察する」
「場を読む」

の2点です。

西尾氏は、この2点を「状況判断能力」の一言に集約しています。
でも、私としては、以下の2つに分けて考えたいです。

--------------------------------------

・顧客心理洞察力

 →顧客が何を望んでいるかを予見する

・状況判断能力

 →お座敷の状況や一緒に出ている芸舞妓の力量等を把握する

---------------------------------------

芸舞妓さんは、こうした顧客の目には見えない能力を発揮すること
によって、多様な顧客ニーズと場の状況に応じた

「卒のないサービスの提供」

を提供することができ、おかげでお客さんは
お座敷遊びを存分に楽しむことができるというわけです。

ただ、顧客心理洞察力や状況判断能力がどんなに優れていても、
舞の技能が劣っていたり、言葉遣いがおかしかったりしたら、
顧客満足につながりませんよね。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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