京都花街の経営学(4)芸舞妓さんの評価システム

2008.07.04

ライフ・ソーシャル

京都花街の経営学(4)芸舞妓さんの評価システム

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

お茶屋で芸舞妓さんたちを呼び、 彼女たちの舞踏を鑑賞したり、小唄、長唄を楽しむことを 「お茶屋遊び」 と呼びますが、 そもそも費用はどのくらいかかるものでしょうか?

ということだけでなく、

どの芸舞妓さんを呼ぶかというアレンジを行う
お茶屋のお母さんの評価や、仲間同士の評価も
含まれるという点です。

芸妓さんもある程度経験を積んでくると、
自分の得意なことが分かってきますから、
舞を主に行う「立方」、三味線や唄を担当する
「地方」などに、ある程度専門分化していきます。

お座敷には、立方、地方などそれぞれの役割を
受け持つ芸舞妓さんたちが複数人呼ばれますから、
例えば、特定の芸舞妓さんがひいき客から呼ばれた場合に、
その舞妓さんと役割上の相性のいい他の芸舞妓さんも
一緒にお座敷に出ることになるわけです。

このように、芸舞妓さんたちは基本、チームで動くので、
お茶屋のお母さんとしては、単に舞などの技能や接客力
が優れているだけでなく、場全体をうまく仕切る能力
(ディレクション能力)の高い芸舞妓さんは、
顧客の満足度を高めてくれるありがたい存在であり、
よく声がかかることになります。

また、お座敷での能力だけでなく、
普段の振る舞いも評価の対象となっていて、
儀礼に欠けるような行動をした芸舞妓さんは、
その評判がたちまち花街全体に伝わり、
お茶屋さんから呼ばれなくなっていくのです。

ですから、
芸舞妓さんの花代に基づくランキングは、
極めて明快な

「成果主義」

とは言え、その成果に至るプロセスの評価が
きっちりと反映されているということになります。

ですから、上位をゲットできるような芸舞妓さんは、
単なる結果に過ぎない「花代」に一喜一憂するのではなく、
そうした結果に至ったプロセス、端的には

「自分のどこが良かったのか、改善すべき点は何か」

を客観的に見つめることができる人です。

おや、ビジネスパーソンと全く同じですね。

→夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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