世界を変える会社の作り方~1~

2008.06.04

経営・マネジメント

世界を変える会社の作り方~1~

山口 揚平

~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~  会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。  私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。

1章 起業前――落ちこぼれ社員からM&A漬けの日々へ

成績は20人中19番。仕事さえなくて…

 まず、起業前の社会人デビュー時期に遡りたいと思います。

 社会人になったのは、ちょうど10年前。1998年、大学卒業後、コンサルティング会社に入りました。コンサルティング会社に入った理由は“就職”したくなかったから。いろんなことを知りたかったし、自分の人生の選択肢を狭めたくないと思っていました。だからどうしても“トヨタ”や“ソニー”には行けなかった。一番オルタナティブ(選択肢)が多いものはなんだろうと考え、コンサルティング会社を選んだのでした。

 なんとか入社したまではよかったのですが、最初、全然ついていけませんでした。採用倍率が200倍と高かったこともあり、私からみると同期はあまりにも優秀でした。自分は経営学のケの字もわからないし、バランスシート(貸借対照表)も読めない。パワーポイント、エクセルも使えませんでした。要するに落ちこぼれでした。

 大学時代に奨学金を利用していたこともあり、お金もありませんでした。3人兄弟なので、みんな勝手に大学に行けという教育方針でした。会社は実家から遠く、とても通えませんでした。しょうがないので、四畳半の3万円の品川の部屋に住んでいました。フロは無くトイレは共同で、隣りの駐車場は4万5000円でした。駐車場に停まっているカローラ以下のところに自分は住んでいるんだなぁ、とぼんやり思っていました。会社でついていけないので、血尿は出るし、実際、大変な時期でした。

 新入社員として3か月ぐらいのころ、ショッキングな事実を発見しました。何気なく会社のサーバを覗いてみたら、人事のフォルダが出てきました。そこに、新人研修の評価が出ていたのですが、なんと自分の評価が同期20人中の19番。これはショックでした。

 たしかに周りはドクター、マスター勢も多かったのですが、でも20人中19番はないだろうと。20人の中で19位だと、仕事はないわけです。仕事がないのを、この業界では、「ビーチ」といいます。ビーチというのは、暇そうに横になっているみたいな意味からそういうのです。そんなビーチな日々を過ごしているわけだから会社に行ってもやることがない。新入社員だから、妙に高いモチベーションで出勤する。でも、会社にいても、ただネットを見ているような日々。
 あるとき、パートナーと呼ばれる会社で一番偉い人が来て、「キミ、ヒマそうだね」と声をかけてくださいました。同期は皆、プロジェクトに出ていたので、確かに私だけヒマそうでした。その私に向かって「ケーブルテレビ業界について調べてくれ」というのです。私は「わかりました!」と即答しました。

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