調達活動: 利益を生み出す仕組

2008.06.02

仕事術

調達活動: 利益を生み出す仕組

猪熊 篤史

調達活動においてシナジーを創出することによって利益を生み出すことが出来る。その方法について考えたい。

仕入れた原材料を加工して、製品を高く売ること、安く仕入れた商品を高く売ることによって利益が生まれる。製造や流通過程における技術や販売・マーケティング力の問題もあるが、いかに良質で安い原材料、商品、あるいは提供するサービスの基となる情報や労働力を仕入れるか、仕入れられるかによって利益率や利益の額が決まる。これは調達活動(Procurement)と呼ばれる企業活動における重要な要素である。

説明を簡単にするために、仕入れの対象となるもの、つまり、原材料、商品、あるいは情報や労働力、さらには、製造用の機械、輸送会社や広告代理店のサービスからコンサルタントのアドバイスまでを全てまとめて『原製品』と呼ぶことに
したい。『原製品』を仕入れて、加工する、あるいは、小売・流通業などにおいては原製品をほぼそのまま消費者に『製品』として販売する単純なビジネスモデルを考えたい。このモデルは、製造業だけのものではなくて、あらゆるサービスに応用できるはずである。

良質な原製品を安く仕入れることは、企業の基本的な活動の一つである。どうしたら原製品を安く仕入れられるだろうか?一般的には「大量に仕入れる」、あるいは、「長期間の契約を結ぶ」などの解答があるだろう。しかし、中小企業やベンチャーで、大量仕入や長期仕入を確約できる企業は少ない。このような「規模の経済」、つまり、大量生産や大量仕入によって製品一つ当たりの費用を引き下げることに頼った活動は、企業活動の結果や成果であって、基本的な戦略ではない。

例えば、1,000という価値で売れる製品があるとする。売り手がこれを1,000で仕入れて、1,000で売れば売り手の儲けはない。売り手は原製品を900あるいは800で仕入れて1,000で販売することによって100、あるいは、200の利益を得ることが出来る。

大量仕入や長期契約なしにどうしたら良質な原製品を安く仕入れられるだろうか?次のような場合に売り手は買い手に対して安い価格を提示することが出来るだろう。

■買い手が、原製品の価値を高めてくれるため、最終消費者や潜在的な買い手に対して原製品の供給者としての信頼や信用が高まる。 ⇒売上・取引の拡大

■買い手との取引によって売り手の販売管理費が軽減される。例えば、買い手が売り手の研究開発や製品企画などの一部業務を実際に、あるいは、実質的に負担する。 ⇒コスト削減

■買い手との取引によって売り手の学習や経験が高まる。⇒生産・販売力の向上

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